ネジールプロジェクト 活動基本計画(1999年11月26日付)

お問い合わせは協会事務局;
 souwa@sepia.ocn.ne.jp または alba0523@karatsu.ne.jp

募金のお振り込みは;
 郵便振替  00180-4-139236 「ネジール・プロジェクト基金」


ネジール・プロジェクト基金
  従来の「ネジールを支える会」は11月17日付で「ネジール・プロジェクト基金」の名称にて、活動開始しました。基金目標金額は1億円で、アルバニア共和国とコソヴァに対して、網膜芽細胞腫に苦しむ子供達の医療援助を開始します。
  募金口座番号は「支える会」と同じです。

現在金大医学部附属病院にて研修中であるガズメンド・カチャニク(Dr.Gazmend KAÇANIKU)の研究支援
  具体的には;
  倒像眼底鏡(とうしょうがんていきょう)眼科の診察に欠かせない器具の贈呈
  米国、日本の先端眼科専門書贈呈
  涙腺器官手術の世界的権威である。浜松市の栗橋病院他での研修11/29〜12/3
  以上の3点、金額で35万円相当の援助を行っております。今後も現地の医師の研 修招聘や日本からの専門医の派遣等を基本に活動を継続します。
  尚、コソヴァだけでなく、アルバニア本国にも支援を同時に展開します。

Green Laser光凝固装置の寄贈について
  プリシュティナ大学医学部病院に上記の最新式機器送ります。
  価格は900万円です。現在フランスのメーカー支店との間でコソヴァでの使用に関して設置可否など詳細な問題点の詰めの交渉の最終段階中です。
  この機器は県内の医療機器会社とメーカーの多大な貢献で実現します。
  可否の判断がでしだい、発表させていただきます。

帰国について
  12/4小松発12時全日空756便で金沢を離れます。
  12/4,6,7の間で関係先の挨拶を行います。
  12/8成田発11時25分全日空207便でウィーン経由
  12/9ウィーン発マケドニア、スコピエ着
  AMDA佐藤看護婦他出向え、陸路コソヴァ自治州プリズレン市の自宅へ。



ネジール・プロジェクト

  コソヴァの人口は約240万人です。この地域の人口は若く平均年齢は20歳代で す。子供の数も多く、どの家庭にも3〜4人の子供がおります。7〜8人も子供 がいる家庭もあります。出生率も高く、現在でも上昇傾向を示しています。この 地域の出生率はヨーロッパで最も高い数値を示しています。
  ネジール君(3歳、男子)の両眼が罹った病気は網膜芽細胞腫(癌の1種)であ り、網膜芽細胞腫は約15000人に1人の割合で発生し、眼球内に生ずる悪 性腫瘍としては最もよく見られるものです。網膜芽細胞腫のほとんどは5歳以下 の幼い子供に生じます。コソヴァでは網膜芽細胞腫やその他の眼球内腫瘍の発症 率は他の地域に比べてより高い傾向が認められます。この病気は癌の1種ですか ら、治療しなければ確実に死に到ります。
  網膜芽細胞腫は遺伝的原因(40%)および非遺伝的原因(60%)で発生する 病気です。遺伝的原因で発生する場合では、一方の眼に発症する場合と、両方の 眼に発症する場合があります。網膜芽細胞腫の患者のすべての兄弟姉妹は定期的 に眼科検査を受ける必要性があります。遺伝的にこの病気に罹る可能性について 判定するために、網膜芽細胞腫の患者本人やその親族の遺伝子検査が必要です、 しかし、コソヴァにはこのような検査を実施するために必要な設備がなく、これ を実施することが不可能です。
  コソヴァでのこうした事情を考えると、コソヴァでは妊娠期間中に十分な検査が 行われないまま出生に至るケースが多く、コソヴァでは網膜芽細胞腫の発生率が ヨーロッパ諸国と比較して高いと言えます。
  コソヴァでは網膜芽細胞腫やその他の類似の病気に対して検査設備のみでな く治療設備もないので、治療を行うことができません。
  網膜芽細胞腫を治療するには、いろいろな分野の専門家の参加が不可欠です。
  網膜芽細胞腫の治療には、特殊な装置・設備と眼科や小児科の専門的な知識と経 験が必要です。網膜芽細胞腫の治療には以下のようなものがあります。

  1.腫瘍が大きかったり、視力がほとんど失われている場合には眼球摘出
  2.レーザー光線凝固による温熱療法
  3.レーザー光線による腫瘍栄養血管凝固療法
  4.抗癌剤による化学療法
  5.放射線療法

  コソヴァでは残念ながら、医療設備の欠如から上記の1.と5.を除いて、 これらの治療を実施することは不可能です。また、これらの患者がコソヴァ以外 の国で治療を受けようとしても、経費が非常にかさむため、実際には不可能な状 態です。
  これらの事情を考えた場合、網膜芽細胞腫の治療をコソヴァのプリシュティナ大 学医療センターにおいて可能にすることが焦眉の急です。眼科を含むプリシュテ ィナ大学の医療スタッフについて言えば、彼らは非常に優秀な医師になる素質を 充分に備えています。彼らの大部分は英語を話しますし、医学分野の情報にも通 じていますが、残念ながら医療設備の欠如から、それらの知識を実際の治療に役 立てることができない現状です。
  ネジール君は両眼に網膜芽細胞腫が生じました。重症の右眼は上記1.眼球 摘出をベオグラードで受けました。残された左眼の網膜芽細胞腫に対してコソヴ ァで上記4.抗癌剤による化学療法を開始しましたが戦争のためその継続が出 来なくなりました。この度多くの方々の御支援をいただき、日本の金沢大学医学 部付属病院でネジール君は上記2.、3.および4.の治療を受けました。
  金沢に着いたときにはネジール君の左眼の網膜芽細胞腫の腫瘍塊は眼球内に大き く盛り上がっていましたが、金沢大学で治療を受けた後では腫瘍塊は眼底検査で もMRI画像診断でも完全に消失しました。私は金沢大学での素晴らしい治療効果 に大変驚きかつ感銘しまた感謝しています。 網膜芽細胞腫では進行すれば、腫瘍が眼球内にとどまらず眼球外にまで波及し、 また脳脊髄液を介して脳や髄膜に広がったり、あるいは肺、骨、骨髄などに転移 すると、治療は極めて困難になり、救命は不可能になります。さらに、網膜芽細 胞腫の患者ではこれ以外の悪性腫瘍の発生頻度も高くなります。従って、網膜芽 細胞腫の早期発見・早期治療が非常に大切です。
  コソヴァの医師達はこの地域で網膜芽細胞腫の発生率が不幸なことに非常に高 く、多様であることから、網膜芽細胞腫に関する豊富な医療体験を有していま す。しかし、コソヴァの医師達は医療設備の不足や欠如から、自分達の知識と経 験を役立てることができず、腕をこまねいています。彼らは最近の医療技術の進 歩にも大きな関心を抱いており、日本が提供できるような高度の医療トレーニン グを外国で受けることも強く望んでいます。
  日本はコソヴァからは地理的に非常に遠いのですが、現在日本に滞在している私 の印象では、この国の人々の暖かい親切さ、勤勉さ、それに挨拶の交わし方など が私達コソヴァの人々と非常に良く似ているのに驚いております。家に入るとき に靴を脱いだり、床の上にあぐらで座るなどの生活習慣も共通しています。これ らのことを考えた場合、コソヴァの医師達が日本に来てもあまり外国に来たとは 感じないで、医学と医療技術の研修を積むのに最適の国は日本であると私は考え ています。
  私の願いが現実となり、コソヴァで網膜芽細胞腫の難病に曝されている幼子の命が、日本の皆様の御支援によって一人でも多く救われる日がくることを信じています。

1999年11月11日 金沢にて

ガズメンド・カチャニク(医学博士)
コソヴァ プリシュティナ大学医療センター勤務

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