空爆開始以後の最新情報(5月1日〜5月31日)

タバコを無心する
 プリズレンPrizrenから逃れてきたレチャンRecan村のブレリム・ベリシャBlerim Berisha氏の話「セルビア兵は車を停めさせ、我々が持っていたタバコを渡すよう要求した。その表情は暗く、よくあるような身ぐるみ奪うという感じではなく、ただタバコが欲しい様子だった。若い兵士の一人は私に機関銃を向け、セルビア語で『とにかくタバコをよこせ、さもないと撃つ』と言った」
 他のコソヴォ・アルバニア人も、酔っ払ってアルコール類の瓶をポケットに忍ばせていたセルビア兵を目撃している。
(ATSh 99.05.01)

クカスへバス
 クカスKukesに留まっているコソヴォ・アルバニア人を他の地方へ移送するため、5月1日、ティラナからクカスへ向けて15台のバスが出発した。ティラナには既に81941人のコソヴォ・アルバニア人が来ており、うち63700人が一般家庭に、18420人が避難民キャンプに滞在している。またティラナ当局に正式登録した避難民は62407人、うち9833人がキャンプ生活、残りが一般家庭に滞在している。
(ATSh 99.05.01)

39人が誕生
 ベラトBeratに留まっているコソヴォ・アルバニア人の中でここ数日だけでも12人の新生児が誕生、これまでに合わせて39人が産まれている。一方で4件の中絶もあった。
 ただベラト、スクラパルSkrapar、クチョヴァKucoveの産婦人科では医薬品と関連物資の不足が続いており、保健省の支援も依然充分ではない。
(ATSh 99.05.01)

「メーデー」健在
 5月1日は労働者の国際連帯の記念日。労働党体制下では勿論最大級の祭典であったが、同体制の崩壊後も自然な形で生き残った。
 今年は、毎年盛大に行われるコンサートや集会やパレードはなく、ごく普通の祝日となった。ティラナでは家族連れが人造湖Liqeni Artificial周辺の丘へ、またダイティDajti山へハイキングに出かけた。オペラハウスTeatri i Operas dhe Beletitでは、アルバニア労組連盟Konfederata e Sindikatave e Shqiperiseの主催で、メイダニRexhep Mejdani大統領とコソヴォ独立労組同盟Bashkimi i Sindikatave te Pavarura te Kosovesのミュスリュ・リポヴェツィMysly Lipoveci代表を迎えて記念式典が行われた。
 メイダニ大統領は「今年のこの日は、現在の困難な状況下でコソヴォのアルバニア人を救う、世界の民主主義精神の連帯が明らかにされた日です。それは現在だけでなく、未来のための連帯でもあります。なぜなら私達は、人間が人間のことを思いやり、そのために努力し、協力していけるような世界を建設しようとしているからです」と国民向けの演説を行った。
 アルバニア労組連盟のムチャKatriot Muca代表は「今年のメーデーは、国際連帯の証人となる日だ。その連帯は国際社会の活動、とりわけ、ベオグラード体制を打倒しコソヴォ民衆に歴史的正義を実現するためのNATOの活動に表れている」と述べた。コソヴォ独立労組同盟のリポヴェツィ代表は、コソヴォからの避難民に対するアルバニア側の支援に感謝の意を表明し、「21世紀のメーデーは、自由で民主的なコソヴォで祝いたい」と述べた。
 式典では、セルビア警察権力に抗して命を落としたコソヴォのアルバニア人に1分間の黙祷が捧げられた。
(ATSh 99.05.01)

北部に攻撃続く
 4月30日、セルビア軍兵士が火炎放射器でハスHasにあるチャファ・エ・プルシトQafa e Prushitの検問所を攻撃。同軍は同日クカスKukesにも20発余りの砲撃を加え、民家2軒と電力供給施設を破壊。
 5月1日午前中にはハスのレタイLetaj、ヴラネVlane両村に、また午後にはトロポヤTropojeのゾガイZogaj村に砲撃が加えられた。同日チャファ・エ・プルシトでは小学校付近が銃撃され、一時アルバニア軍と交戦。また砲撃によって検問所の2階が倒壊した。
(ATSh 99.05.01, 05.02)



続 クカスへバス
 クカスKukesに留まっているコソヴォ・アルバニア人をティラナやカヴァヤKavajeなど他の地方へ移送するため、5月1日、ティラナからクカスへ向けて15台のバスが出発した。5月2日にはさらに7台が出発し、合計22台となった。昨夜はティラナに400人が到着し、うち204人が一般家庭に逗留し、他は「アスラン・ルスィAsllan Rusi」体育館に収容された。
 ティラナに来ているコソヴォ・アルバニア人はこれで82331人、うち63904人が一般家庭に、他は避難民キャンプに滞在している。
(ATSh 99.05.02)

一方クカスでは
 クカスからは、NATO軍やアルバニア軍の用意した車輌、また自家用車で、5000人のコソヴォ・アルバニア人が他の地域へ移動するために出発した。NATO軍車輌にはイタリア、スペイン、ハンガリー各軍が加わっている。
 一方同じ日の夕方、北部国境のモリナMorineには1500人のコソヴォ・アルバニア人が車60台に便乗して越境した。
(ATSh 99.05.02)

鉄道輸送が急増
 4月だけで、鉄道によって32600トンの物資が国内20地区へ輸送された。イタリアの人道援助活動「虹」作戦の一環で砂利2万トンがミロトMilot駅からドゥラスDurresのスクスSukth駅まで運ばれたことも、輸送量の急増に貢献している。
(ATSh 99.05.02)



LDK記者会見
 5月3日、ティラナでコソヴォ民主連盟(LDK)指導部が記者会見を行った。
 ナイム・メルリウNaim Merliu副代表は、セルビア軍によるコソヴォ・アルバニア人への軍事攻撃と、アルバニア系住民の「生物学的存在」そのものを脅かす「民族浄化」に対して、コソヴォの政治勢力の共闘とアルバニアによる避難民支援、そしてNATOの役割の重要性を強調した。特にNATOの空爆について、「セルビアのテロリスト機構を壊滅させるまで」集中的に継続すること、コソヴォ・アルバニア人の帰還を保障するためにNATO主導の部隊を投入することなどを求めた。
 イブラヒム・ルゴヴァ代表については、「依然としてセルビア軍の人質にされている」と述べ、同代表の解放と自由な政治活動が可能になるよう、国際社会の協力を求めた。
 見解の相違が伝えられているコソヴォ解放軍(UCK)については、コソヴォのあらゆる政治的・軍事的勢力の一つと認識しており、コソヴォ統一政府樹立への参加を呼びかけている、と述べた。
 LDKの首脳陣[ルゴヴァを除く]はティラナ滞在中に、メイダニRexhep Mejdani大統領、マイコPandeli Majko首相、ミロPaskal Milo外相、サブリ・ゴドSabri Godo外交政策会議議長[前アルバニア共和党党首]、民主党のベリシャSali Berisha党首、さらにティラナの全欧安保機構(CSCE)代表であるエーヴェルツDaan Everts氏と会談した。
(ATSh 99.05.03)

第8国際幹線道路
 98年来計画・建設が進んでいるアルバニア〜ブルガリア〜トルコ国際幹線道路「第8幹線道路Korridori8」のうち、ドゥラスDurres〜カヴァヤKavaje〜ロゴジナRrogozhine間の22kmが99年9月までに完成する予定。
(ATSh 99.05.03)

「学校へ行こう!」
 ティラナの「ドン・ボスコDon Bosko」文化センターは、コソヴォ・アルバニア人の子供930人を受け入れ、教育や娯楽の機会を提供している。同センターのドン・イズィドルDon Izidor氏によると、特に小学校[アルバニアは8年制]の学齢児童を対象に、芸術活動やスポーツ、英仏伊独の各外国語を教え、また戦争による子供達の心の傷を癒す活動を進めている。
(ATSh 99.05.03)

ベリシャ サチ政府を承認せず
 5月3日、民主党(PD)が主催する国民会議の集会が行われ、サリ・ベリシャSali Berisha党首がコソヴォ問題の現状について演説した。同氏は、同党がかねてからNATOを支持しており、空爆の実施を1992年[民主党による政権獲得年]から求めていた、と述べた。また同氏は、NATOの勝利は確信しているが、自由なコソヴォの再建のための避難民機関が実現しなければ、アルバニアの勝利とは言えないこと、アルバニアの地域統合を損なうことは、アルバニアが占領されるに等しいことだと主張した。
 同氏は、UCK(コソヴォ解放軍)のハシム・サチHashim Thaciを首班とする臨時政府を認めず、民主党として、国民統合を象徴するような政権を承認すると述べた。一方で、UCKは[北大西洋]同盟の勝利にとって不可欠な要素であるとも語っている。同集会ではこの他に北東部の地方行政の強化の必要性や、現在行われている民主党支持者への裁判[98年秋の騒乱に関する]などが話題となった。ボイコットを続けている人民議会への協力の是非については、議題に上らなかった。
(ATSh 99.05.03)

TV局の危機
 5月3日早朝、ハスにあるアルバニア国営テレビと地方局「TV Juli」の電波中継所付近にセルビア軍の砲弾が着弾。直接の被害はなかったものの、社員らが退避したため施設の保守点検ができなくなっている。ポガイPogajの国境検問所も攻撃を受けた。午後にはハスのドブルナDobrune村にも砲撃、民家5軒が炎上。さらに同日夜にはレタイにも砲撃があり、たまたまゾガイから親戚を訪ねてきていたルルズィム・ハサン・ムハメティLulzim Hasan Muhameti氏(26歳)が死亡した。レタイへの砲撃は翌日も続いた。
(ATSh 99.05.03, 05.04)



湖に女性の遺体
 5月4日早朝、国境のモリナMorineに近いフィエルザFierze湖で、25歳前後の女性の遺体が見つかった。身分証明書などは持っていなかった。クカスKukes区警察の発表によると、遺体はドリニDrini川を流れて来たと思われる。コソヴォからの避難民の最近の証言によれば、セルビア民兵が若い女性を多数捕まえて強姦し、コソヴォ領内からフィエルザ湖に流れ込むドリニ川へ投げ込んでいるという。
(ATSh 99.05.04)

ドイツから6億マルク
 ドイツ連邦共和国在アルバニア大使館のリュディガー・ロツRudiger Lotz報道官によれば、ドイツからアルバニアへの資金援助総額は6億8716万マルクに達した。この額には、99年4月17日以降コソヴォ・アルバニア人1万人をドイツへ受け入れた際の経費、医療援助物資空輸のための航空機60便にかかった経費、避難民収容のための経費も含まれている。
 さらに双方向かつ人道的援助としてアルバニア、コソヴォ、マケドニアを対象として支払われた額は8356万マルク。また駐留ドイツ連邦軍の経費は5億8860万マルク。
 EUおよび加盟諸国からコソヴォ避難民救援のために支払われた額は5億5683万ユーロ(10億8900万マルク)、このうちドイツの負担分は98年で1406万ユーロ、99年で2874万ユーロ。
(ATSh 99.05.04)

リナス空港 大損こく
 アルブトランスポルトAlbtransport社のスタヴリ・ヴェショStavri Vesho社長によれば、リナス国際空港の99年4月分の損失は3億ドルにのぼった。一連の事態で空港の通常業務が停止したことに加え、救援活動のための便を多数「ロハ」で受け入れたため。
(ATSh 99.05.04)

クカス続々流入
 クカスKukesには5月3日夜、スハレカSuharekeやジャコヴァGjakoveから2000人のコソヴォ・アルバニア人がやって来た。この日だけで5290人が、NATO軍用車輌も含む319台で越境。クカスの住民22000人に対し、コソヴォ避難民の数は107803人に達している。スハレカのヴラニチVraniq村とブコシBukosh村から来た女性、老人、子供の一行は、逃げる途上でセルビア警察に止められ、金品や装飾品、貴重品の類を奪われた。男性は列から連れ去られた。またリコツLikoc村から来た18歳の女性は、自分の兄弟や、同年代の男性400人以上が連行されたと語った。
 翌5月4日は、午後9時までにモリナMorineから6800人が到着した。多くはコソヴォ北方のハスHas村[アルバニアのハスとは別らしい]やスハレカ、ジャコヴァの住民。覆面をしたセルビアの民兵に身の回りのものを奪われた上、青年や壮年の男性は捕えられたと言う。
(ATSh 99.05.04)

「戦後」への視点
 エディ・ラマEdi Rama文化相は5月4日、パリでフランスのカトリーヌ・トロートマンCatherine Trautmann文化相と会談した。会談にはフランス文化省のスタッフ、在仏アルバニア大使、アルバニア系フランス人の映画監督リリ・ベゲヤLiri Begeja氏が同席した。
 ラマ文化相は「ミロシェヴィチ体制に勝利した後の局面について、具体的な計画が必要」であり「戦いは、アルバニアと国際社会の関係の局面によって変化する。アルバニアは現在も将来も、単に慈善や施しを受け続ける存在ではなく、国際社会から適切な支援を求めるよきパートナー」であるとし、「今こそ、文化面での連携、活発な意見交換、あらゆる計画を実りあるものにするための協力関係が求められる時期だ」と述べた。
 トロートマン文化相はこれに理解を示し、アルバニアの文化施設維持のための支援、またフランス留学を希望し、それに適した能力と条件を満たすアルバニアの若者への支援を含む計画について、個人的にも、また文化庁としても協力することを約束した。
(ATSh 99.05.04)


日本の連休も関係なし
 5月4日、トロポヤのパデシPadeshi村にセルビア側から砲撃。同村は国境から30mしか離れておらず、民家は20軒ほど。現在コソヴォ解放軍の支配下にあり、女性や子供は避難し、男性しか住んでいない。彼らへの被害はなかった模様。レタイへの砲撃はこれで3度目。「ゴールデンウィーク」中も、アルバニア北部の国境地帯ではセルビア軍及び民兵からの攻撃と、アルバニア軍による応戦が散発している。
(ATSh 99.05.05)

アパッチまた墜ちる
 5月5日午前1時30分、訓練中のアメリカ軍戦闘ヘリAH4「アパッチ」が、ティラナ・リナス空港の北方75kmの地点に墜落。乗員2名が死亡した。4月26日にも同型機AH64がティラナ北方50kmの地点に墜落、乗員2名が負傷している。非戦闘時とはいえ、アルバニアにおけるNATOの活動で死者が出たのは初めて。
 墜落原因について、シュトゥトガルトNATO欧州司令部のリューネンTom van Leunen司令官は「暗闇で起こったため詳細は依然不明」と発表。一方、アルバニア駐留NATO軍のドーナンGarrie Dornan陸軍中佐は、民間人への被害について「そういった情報は受けていない」と述べ、同部隊の対ユーゴスラヴィア作戦活動に支障はないと強調した。
 もっとも、墜落の際に電線が切断されたため、付近の民家が停電に見舞われている。
(ATSh 99.05.05)

大移動作戦 開始
 クカスからコソヴォ避難民を他の地域へ移送する本格的な作戦が、5月5日朝、バス12台とNATOおよびアルバニア軍の軍用トラック30台によって開始された。また、同市周辺のキャンプからも移動が始まった。
 一方で4日には7000人のコソヴォ・アルバニア人がモリナMorineを越えてクカス入りしており、多くが野宿を余儀なくされた。このことも、避難民の移動を急がせる理由になった。
(ATSh 99.05.05)

児童の接種完了
 4月にシュコダルShkoderへやって来たコソヴォ避難民の子供に対するワクチン接種が、3週間かけて完了した。対象となったのは、0歳から4歳までの4250人。現地の医療施設は24時間機能しており、現地の医者はアメリカの医師グループと一緒に仕事をしている。5月4日午後にはギリシアの医師団が到着した。
(ATSh 99.05.05)

イタリア就労がより楽に
 アルバニア労働・社会問題省によれば、アルバニアで年金を受けている人でも、イタリアの親戚に対し、家族の構成員としての権利を有することができることになる。イタリア領事館の規制緩和措置については、可能性は指摘されていたが実現困難な状態だった。今回、同領事館と、労働・社会問題省の中にある移民局との間で合意が成立。98年だけで3000人というアルバニア人労働者のイタリア受け入れについて、労働許可証の交付などがより簡易化されることになる。
 一方、アルバニアのイタリア大使館も、人材交流やアルバニアからの移民への対応について、自治体レヴェルでの協力関係を推進することに同意した。
(ATSh 99.05.05)

物価下降
 アルバニア農業・食料省の統計局が5月5日発表した食料品販売価格は、品目によって値下がり傾向が見られる(前週の価格>今週の価格   レク/kg);
小麦 63,8>63,1
砂糖 67,5>67,6
油 179,4>177,5
米 86,4>86,7
白チーズ 350,3>340,9
バター 540,5>527,5
卵 11,9>12,2(レク/個)
牛肉 595,9>597,2 [記事では『値下がりした』と書かれているが、誤植?]
鶏肉 259,8>263,4
  また果物類については、季節ものに関してはやや値が下がっている。
  値下がりの要因として、市場への供給が充分であること、多くの品目が「旬」にあたる時期にあることなどが考えられる。ただ、クカスKukesとヴロラVloreでは値上がり傾向が見られると言う。
(ATSh 99.05.05)

沈黙の壁
 コソヴォからやって来たアルバニア人達の中には、一点を凝視し、放心状態でまったく口をきかない女性がいる。明らかに、殺戮や虐待から受けた強いトラウマによるものだが、現地に展開する国際医療団の中でもこうした症状の専門家は不足している。
 コソヴォにおけるアルバニア人女性への性的虐待については、これまで様々な噂が伝えられながら、その事実確認は困難を極めている。強姦されたことを被害者自身の「恥」とするアルバニアの伝統的家庭観のために沈黙する女性が多く、調査・救援活動も充分進んでいない。
 しかしクカス Kukesでは、国際的な人権監視組織HRW(Human Rights Watch)が、スハレカSuharekeのドラガツィンDragacin村から逃れてきた複数の証言によって、信頼に足ると思われる情報を得た。
 4月21日にセルビア軍が同村を包囲。この時、闘えそうな男性のほとんどが森に逃げ込んでおり、女性と子供、そして11人の高齢男性だけが残された。彼らはセルビア軍によって平地に集められ、男性達が連れていかれた。銃声が聞こえ、そして男性は誰も戻って来なかった。セルビア人兵士達は女性と子供を民家へ連れ込んだ。ある兵士は子供の喉にナイフをつきつけて金を脅し取っていた。女性達は兵士達の食事や洗濯をさせられたり、虐待を受けたり強姦されたりした。
 ある女性は、制服姿の人物に連れられて民家で強姦され、翌日別の家でも強姦された。さらに別の家では複数の兵士達の前で服を脱ぐよう強要され、さんざん侮蔑の言葉を投げつけられた挙げ句、指揮官1人に将校1人と共に残された。将校は裸になって彼女をベッドへ連れ込もうとしたが、彼女が激しく抵抗したため何もできなかった。指揮官はそれを傍観していた。その後、彼女は裸のままで兵士達にコーヒーを入れさせられ、それからほかの女性達のところへ還された。また別の女性も民家5軒を連れ回され、5軒目で強姦された。
 同じような被害を複数の女性が証言し、うち1人はBBCのカメラに向かって発言した程だった。もっとも、大半の女性は証言を拒否している。こうしたことは正式な軍警察組織よりも、志願兵を含む民兵組織に多いと見られている。
 一方、強姦の被害に遭いドイツに逃れてきた女性は、政治的背景が証明されなければ難民認定を得られない。ドイツの難民支援団体Pro Asylのベルント・メソヴィチ Bernd Mesovic氏によれば、当局は問題を「個人的な暴行事件」としか見ておらず、難民申請も却下されている。多くの女性が被害を自分自身の恥として沈黙し、周囲にも話さない。またごく親しい間柄に話したとしても「よくあること」として覆い隠そうとする。まして役人の前では、口を閉ざしてしまう。入国から3カ月間の滞在資格を得た後でなければ難民申請を出せない現行制度の問題もある。
(taz 99.05.05)



「アパッチ」で乗員2名死亡
 ブリュセルのNATO当局が5日伝えたところによると、AH64型ヘリコプター「アパッチ」1機が、早朝ティラナ北方75kmの地点に墜落、乗員2名が死亡した。ヘリの墜落原因は調査中、事故は「通常の演習」で起きたとのことだが、エンジンの故障が原因ではないかと推測されている。
 この墜落したものと同型のヘリがNATO基地からアルバニア北部へ、難民流入以来ここ20日のあいだに配置されている。9日前の4月26日にもヘリが1機、同じように墜落したが、その時も「通常の軍事演習」中に起きたことと説明された。
 ブリュセルの各種ネット通信によれば、ユーゴスラヴィアからの対空砲火によってバイナ・バシュタBajna Bastaで戦闘機1機が撃墜され、同機はボスニア領内に墜落したという。NATO当局は嘘をついている。ユーゴスラヴィアへの攻撃開始から今日にいたるまで、NATO側がその損失として認めているのはアメリカの戦闘機3機、ヘリコプター2機、無人戦闘機4機(うち3機はドイツ軍、1機はアメリカ軍)のみである。
 NATOは一方の口先で黙殺、また他方では虚偽という形のプロパガンダを行っている。その証拠に、この墜落したヘリコプターの乗員について、3月24日のユーゴスラヴィアに対する攻撃開始以来「最初の人的犠牲」だと述べているのである。
(TANJUG 99.05.06, Politika 99.05.06)
 

NATO、ウロシェフツァでギリシアの人道援助部隊を爆撃
 国際医師団によって組織されたギリシアの人道援助部隊が、4日アテネを出発し、コソヴォ・メトヒヤ[ユーゴスラヴィアでは『コソヴォ自治州』でなく単に『コソヴォ・メトヒヤ』と称する。コスメトKosmetとも]へ向かって進んでいた折、予期せぬ惨事に見舞われた。アテネの「スカイ」放送局によれば、現地住民向けの人道援助物資と医師を載せてマケドニア−ユーゴスラヴィア国境に待機していたトラックの列が、ミサイルの攻撃を受けた。ミサイルは車列後方、200mほど離れた地点に着団した模様。5日午後1時35分には、NATOの戦闘機がウロシェフツァUrosevca近郊に向かっていたギリシアの人道援助部隊を爆撃し、その犯罪的目的を達成した。
 ギリシアの人道援助物資を積んだトラックの行程は、あらかじめ通知されていた。これは決して「誤爆」などではなく、ユーゴスラヴィア連邦共和国の市民生活に対するいっそうの犯罪的計画にもとづくものである。人道援助部隊であることは充分確認可能であり、明らかに犯罪者集団NATOの標的となったのである。彼らはあらゆる手段を用いて、コソヴォ・メトヒヤにおける「人道的状況打開」を独り占めし続けようとしている。
(Politika 99.05.06)


ビタミンとタンパク質
 UNHCR(国連難民高等弁務官事務局)とFAO(国連食糧機構)は、コソヴォ避難民に支給する食糧に果物と肉類をさらに加える計画を発表した。アルバニア農業省によれば、これらは輸入によって調達し、避難民に対して無料で配給される。これによって国内市場の食糧価格の高騰を防止するとのこと。
(ATSh 99.05.06)

北部で戦闘続く
 5月6日未明、ハス HasのペロライPerollaj村に10発の砲撃があった。砲撃は午前4時半から5時まで続いた。被害情報はないが、同村が国境から10kmしか離れていないため、住民には不安が広がった。アルバニア国防省は、クルメKrumeのアルバニア軍歩兵部隊が演習に入ったことを明らかにした。
 一方5月5日午後9時半には、ポガイPogajのマリチMariq住宅地に向け、セルビア軍の砲撃が1時間にわたり続いた。現地の軍と住民が国境付近で警備に当たっていたが、応戦はしなかった。6日には、セルビア軍により国境のパシュトリクPashtriku、ゴロジュピGorozhupi一帯に設置された地雷群へ、NATO機が爆撃を行った。
(ATSh 99.05.06)

スイスよりミルク
 スイスの農家から提供された牛乳80000リットルが、5日ドゥラスDurresに到着した。これによって避難民の各家庭に1日1〜2リットルの牛乳が確保される見込み。ちなみに1週間前にもスイスから52000リットルの牛乳が届けられた。
(ATSh 99.05.06)

そのころプリシュティナでは
 アルバニア国営通信のベフルル・ヤシャリBehlul Jashari特派員は、プリシュティナに残っている住民が「人間の盾」にされていると伝えた。住民はいずれも、NATOの標的になりそうな武器庫・軍施設に隣接する住居の中にいるよう強制されている。コソヴォ・マケドニア国境へ逃れてきた人物の目撃談によると、プリシュティナでは多くの家族がダルダニアDardania住宅地の歩哨所近くに住まわされている。
 コソヴォ・アルバニア人男性はセルビア軍に連行され、避難してくるアルバニア人のほとんどは女性と子供。ラピLlapiでは200人以上の男性が家族と引き離され、ハデ・イ・オブリチトHade i Obliqitでは13人が処刑されたという。
(ATSh 99.05.06)

最大の避難民キャンプ
 アルバニア最大の避難民収容施設が、フィエルFierのセマンSeman村に建設されている。同施設はアメリカ政府の財政援助によって建てられ、64ヘクタールの敷地に25000人を収容できる。5月14日に最初の避難民が入所予定。
(ATSh 99.05.06)

UCK臨時政府 ルゴヴァを批判?
 現在、UCK(コソヴォ解放軍)は司令官ハシム・サチHashim Thaciを首班とする独自の臨時政府を樹立しているが、同政府副首班ヤクプ・クラスニチJakup Krasniqiは5月6日午後の記者会見で、イタリアを訪問しているLDK(コソヴォ民主連盟)のイブラヒム・ルゴヴァIbrahim Rugova代表(『コソヴォ共和国』大統領)に対し、NATOへの姿勢を明確にするよう求めた。また、2月のランブイエ会談で合意された義務の履行、すなわちコソヴォ暫定政権の樹立形態についも明らかにすべきだと述べた。
 ルゴヴァ代表は5日午後に「イタリア政府公式来賓」として政府特別機でユーゴスラヴィアからローマに到着、ダレーマMassimo D'Alema首相やディーニLamberto Dini外相と会談した。同代表が健康かつ自由に行動していることについて西側諸国は満足の意を表明している。
(ATSh 99.05.06)

ヤクプ・クラスニチ ドイツ紙に語る >こちらへ

社会党政府 ルゴヴァ訪伊に好意的
 一方、アルバニア政府の与党である社会党(PS)の議員団長グラモズ・ルチGramoz Ruci氏はイブラヒム・ルゴヴァLDK代表のイタリア訪問について、同代表の健康状態が良好であること、またかねて物議を醸したミロシェヴィチ大統領との会談について同代表が自由に発言していることを、好意的に評価した。同氏は、ミロシェヴィチ大統領の行動が危機打開の突破口となるかどうかは「いずれ分かるだろう」とし、またランブイエ会談および国際機関の合意内容をめぐってルゴヴァ代表が考えを首尾一貫すべきだと述べた。
 社会党と連立する民主同盟党(PAD)のネリタン・ツェカNeritan Ceka党首は、コソヴォの政治家であるルゴヴァ代表の役割を過大評価すべきでないとし、今回同代表のユーゴスラヴィア出国が可能となった背景については、コソヴォ問題について新たな政治的機会を探ろうとしたミロシェヴィチ大統領の誤算によるものではないか、との考えを示した。
(ATSh 99.05.06)

ルゴヴァ訪伊について
 コソヴォ・アルバニア穏健派の代表格によるイタリア訪問をめぐる、アルバニア各紙の見出し;
 「ルゴヴァ解放 ミロシェヴィチについて語る 欧米諸国歓迎」(独立系紙『コハ・ヨネ Koha Jone(我らの時代)』)
 「イタリアの『人質』ルゴヴァ」(独立系紙『シェクリShekulli(世紀)』)
 「ミロシェヴィチの使者ルゴヴァ イタリアへ」(イタリアとアルバニアで発行されている『ガゼタ・シュチプタレGazeta Shqiptare』)
 「ルゴヴァ イタリア到着」(社会党機関紙『ゼリ・イ・ポプリト Zeri i Popullit(人民の声)』)
(ATSh 99.05.06)

避難民の動き
 北部国境ハニ・イ・ホティトHani i HotitにはペヤPejeとジャコヴァGjakoveからやって来た440人のコソヴォ・アルバニア人が到着した。同地にはここ1カ月で35000人が入国している。
 南部のヴロラVloreにはこの24時間で800人のコソヴォ・アルバニア人が到着し、総数10000人に達した。モンテネグロとの国境には、ミェデンMjedenを出発した500人が待機している。
(ATSh 99.05.06)

それでも学問は続く
 エルバサン Elbasanの「アレクサンダル・ヂユヴァニAleksander Xhuvani」大学図書館で、「開かれた社会の市民」協会による「よみがえるフェニックス」と題する学術集会が開催された。コソヴォからの避難民に、現在の事態について考えを深めてもらうのが目的で、同大学の教員・学生も参加した。アブドゥラ・バルヒュサAbdulla Ballhysa博士の開会の辞に続き、コソヴォ出身の学者ラマダン・ケルメンディRamadan Kelmendi氏が1990年のコソヴォ独立憲法発布の意義について発表した。その他、「第一次世界対戦中のコソヴォにおけるアルバニア人」「コソヴォの農地改革」「セルビアによるメディア弾圧」などの題目で発表が行われた。
 ティラナでは、ロンドンの「United World College (アルバニア語 Kolegjin e Botes se Bashkuar)」の奨学生選抜試験が行われ、全国から集まった83人が受験した。5人が選抜される予定。同大学はネルソン・マンデラ南アフリカ大統領が学長を努める国際的教育養成機関で、日本人も学んでいる。アルバニア人学生の参加は1991年から。
 また5月6日、アルバニア科学アカデミーの総会はユリ・ポパYlli Popa博士をアカデミー代表に再選した。総会では総数39人中34人が同氏に投票。科学アカデミーの代表が再選された例は、今回が初めて。
 ポパ博士は1930年1月12日エルバサン生まれ、ブクレシュティ大学で医学を学び、ティラナ大学医学部で生化学科の学科長を務めた。心臓外科医として活躍する一方、1982〜1990年に人民議会議員。エンヴェル・ホヂャの臨床医であったとも言われる。
  1991年からはヘルシンキ委員会委員。科学アカデミーには1983年に候補生、後に正会員、1997年に現職に選ばれる。既婚、娘1人。英独仏伊露の他、ルーマニア語ができる。
(ATSh 99.05.06)


ドイツ人警官死亡
 アルバニアで現地警察に協力しているMAPE(Multinational Advisory Police Element多国籍警察顧問団)のドイツ人警官ヘルベルト・ゼルティエHelbert Seltier氏が「リンザ Linzaホテル」の一室で死亡しているのが、5月6日午後1時に発見された。死因は心不全と見られる。
(ATSh 99.05.07)

学校をめぐる動き
 ティラナのアルバニア人権センターは7日リブラヂュドLibrazhdで「子どもの権利」国際条約を知ってもらうためのセミナーを開催。現地の教員に加えてコソヴォ出身の教員など60人が参加した。同センターは今年だけでも12カ所で36回のセミナーを行っている。
 また同地では、現時点でコソヴォ出身の生徒630人が学校に通うようになった。また6月の第1週には、大学受験生のために臨時の夏期学校が開校される予定。
(ATSh 99.05.07)

ティラナでは
 首都ティラナに避難しているコソヴォ・アルバニア人は88462人となった。うち69508人が一般家庭の世話になり、残る18954人はティラナ当局から当座の食糧支給を受けている。
(ATSh 99.05.07)

「アパッチ」演習再開
 アメリカ軍戦闘ヘリ「アパッチ」による演習は、同機墜落で死亡した2名の葬儀のため延期されていたが、5月7日から再開された。リナス空港内に設置されたNATO軍基地・通称「Hawk Base」では「同僚2人を失った悲しみは大きいが、課せられた任務は全うしなければならない」としている。
(ATSh 99.05.07)

ルゴヴァをめぐる野党の論調
 アルバニアの最大野党である民主党(PD)のサリ・ベリシャSali Berisha党首(前大統領)は、LDK(コソヴォ民主連盟)代表イブラヒム・ルゴヴァIbrahim Rugovaのイタリア訪問について「彼は何よりもランブイエ会談結果の履行を求めて活動している」と、その行動を評価した。
 中道右派政党である共和党(PR)のファトミル・メディウFatmir Mediu党首は、ルゴヴァ代表が依然としてコソヴォ政界の一翼を担っていると評価しながらも、同代表の最近の活動は「コソヴォ共和国大統領」としての責任によるものではなく、現在のコソヴォには真摯な政治・軍事勢力が他にも存在していると述べた。
(ATSh 99.05.07)

アルバニア野党の動き
 民主党を中心とする政治会派「民主同盟(Bashkimi per Demokraci)」は5月7日の記者会見で、議会ボイコットを続ける民主党議員団について述べた。
 自由民主同盟(Bashkimi Liberaldemokrat)のテオドル・ラチョTeodor Laco党首は、民主党の議席が抹消された場合、民主主義の蹂躙であるとして同党も議会をボイコットすると発言した。憲法の規定では、民主党議員が5月末まで出席しない場合、彼らは議席を失うことになる。
 同時に、98年9月の暴動参加容疑で逮捕された合法運動党(PLL)のエケレム・スパヒアEkerem Spahia党首に対する裁判について、政治情勢を悪化させるものだと非難した。
(ATSh 99.05.07)

サウディアラビアより人道援助
 サウディアラビアは、コソヴォ紛争が深刻化した1998年10月より、合計50トンの人道援助を行っている。また赤新月社が同国や他のアラブ諸国の支援で、外科手術も可能なベッド数56の農村病院を建設している。
(ATSh 99.05.07)

NATO機ブルガリア領内から爆撃
 5月5日午後9時35分、NATOの戦闘機がブルガリアの領空圏から出撃し、プラホヴァPrahovaの製油会社「ユゴペトロラJugopetrola」の施設を爆撃。貯水漕2個、タバコ工場と電力供給施設を破壊した。公式発表によれば、現場には消火部隊と救急部隊が急行、火は3時間後に消し止められた。同施設の警備員ドラグティン・スタメンコヴィチDragutin Stamenkovic氏が軽傷を負った。
 不幸中の幸い(srece u nesreci!)なことに、「ユゴペトロラ」から300m離れたプラホヴァの化学製品工場はこの狂気じみたミサイル攻撃の被害を受けなかった。こうした見当違いな照準によって、ブルガリアやルーマニア、ドナウ周辺や黒海沿岸にさらに重大な被害が出たかも知れない。なお、プラホヴァの住民に被害はなかった。
(Politika 99.05.07)


アルバニアの高校生イタリアの大学へ
 ドゥラスDurresの高校卒業生92人がイタリアの大学に入学を認められた。この合格者数は例年を上回る。合格者はいずれも、優秀な成績を収めながら、国内大学の受講定員に入りきれなかった卒業生達。1999〜2000年にアルバニア全体で、1000人がイタリアの大学に受け入れられる見込み。
(ATSh 99.05.08)

イタリア大統領アルバニア訪問
 イタリアのスカルファロLuigi Scalfaro大統領は5月8日日帰りの日程でアルバニアを訪問、アルバニアの政治指導者らと会談した。メイダニRexhep Mejdani大統領と共にクカスKukesの避難民キャンプを訪れた他、ドゥラスDurresやカヴァヤKavajeに展開するイタリア軍部隊を慰問した。なお訪問にはディーニLamberto Dini外相が同行した。
(ATSh 99.05.08)

Dhuro gjak qe te shpetosh jete!
 コソヴォから流入する怪我人や病人の増加に伴い、ティラナの献血センター(QKGj)では献血用血液が不足している。保健省は「命を救うために血液の提供を」と呼びかけている。
(ATSh 99.05.08)

ギリシア国境で地震
 科学アカデミーの地震学研究所は、5月8日午前9時21分、アルバニア−ギリシア国境地帯のレスコヴィクLeskovikでマグネテュード3.6〜4.1の地震を計測した。地震による現地での被害はなかった模様。
(ATSh 99.05.08)

北部に避難民流入
 北部国境のモリナMorineには、5月8日午前中の6時間でペヤPejeとイストグトIstogutの各村から5000人のコソヴォ・アルバニア人が到着。
 ダバルヂャンDaberxhanからの避難民達によると、同村では3人兄弟がセルビア民兵に処刑され、また4人が殺されてから手足を切断されたという。
 ダブラヴァDabllaveから来たサディエ・サディクSadije Sadiku(20)は肩に銃弾を受けていた。国際医療団の医師が彼女を診察したところ、弾が胃と腎臓に達する重傷だったため、クカスKukesのイタリア軍キャンプに一時収容された後、ヘリでティラナへ運ばれた。
(ATSh 99.05.08)

ドイツ人警官死亡・続報
 5月6日に病死した多国籍警察顧問団(MAPE)のドイツ人警官ヘルベルト・ゼルティエHelbert Seltier氏の葬儀がリナス空港で行われ、遺体はドイツへ運ばれた。葬儀にはペトロ・コチPetro Koci公安相やMAPEの現地指揮官らが参列した。
(ATSh 99.05.08)

ペトロ・コチ辞意を表明
 そのコチ公安相が5月8日午後の記者会見で、メイダニ大統領に辞意を申し出たことを明らかにした。パンデリ・マイコPandeli Majko首相との関係悪化が辞任の理由。
 具体的には、ツェリバシIlirian Celibashi副公安相の理不尽な解任、職員候補2名を同相が拒否したこと、学生のハンガーストライキに自分の同意もなく実力排除を行ったこと、ヴロラ市警のソコル・コチウSokol Kociu長官の更迭を求めているのにいまだに承認されないこと、などを挙げた。またこれらの関係悪化が、首相と最大野党・民主党のベリシャ党首との内務に関する会談合意に端を発するものだとも述べた。
 辞任の影響について同相は、現在のアルバニア警察は充分統率が取れており、混乱はないだろうと語った。
(ATSh 99.05.08)

今年の芸術アカデミー賞
 アルバニア文化省主催、ソロス財団、ファン・ノリFan Noli財団、トエナToena出版社他後援により、5月8日夜ティラナ芸術美術アカデミーでライヴ・コンサート「Live in Unplugged」[栓が抜けた?]が開催され、歌手エルトン・デダElton Deda(26)が数百人の聴衆を前に90分で15曲を歌いあげた。エルトンは高等芸術アカデミーを卒業後、90年に「燃える音色Tiguj te zjarrte」を結成しデヴュー。国の重要行事にもたびたび参加し、同年「ヨーロッパ青年の集い」コンクールで3位に入賞した。
 「今のアルバニアの困難で異常な条件下、僕はこれを実現させたんだ」と語ったエルトンの曲目の中には、コソヴォに捧げた「僕には見つからないSa pak kerkoj」も含まれていた。
(ATSh 99.05.08)


コチ公安相 辞任を撤回
 5月8日の記者会見でメイダニ大統領に辞任を申し出たと述べていたペトロ・コチPetro Koci公安相(35)だが、翌9日午後にこれを撤回した。匿名の政府高官は、同相は閣議の数分前に辞任を取り消したと語ったが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
 当のコチ公安相は、マイコMajko首相との会談、また与党社会党(PS)指導部の会合を受けて会見し、「首相との間で信頼関係を確認した」として職務を継続するつもりであると述べた。
(ATSh 99.05.09)



「あ、ごめん」
 ベルリンの日刊紙die tageszeitungは上記の見出しでNATOによる「誤爆」一覧を掲載した[もっともこれでも全部ではないらしい!];
99.04.06  ミサイルがセルビア南部アレクスィナツAleksinacの住宅地を爆撃。少なくとも5人死亡。
99.04.12  ミサイルがベオグラード近郊で旅客列車を爆撃。少なくとも30人死亡。NATOは被害者に謝罪。
99.04.14  難民の車列に爆撃。少なくとも70人が死亡。ユーゴスラヴィア当局は関与を否定。NATOも当初関与を否定していたが、後に「誤爆であったと思われる」と撤回。
99.04.23  セルビアTVに爆撃。少なくとも10人死亡。
99.04.27  スルドリツァSurdulicaの兵舎敷地に爆撃。ユーゴスラヴィアの報道によれば、女性と子供を含む20人が死亡。
99.04.28  ブルガリアの首都ソフィアSofija郊外の民家が爆撃を受け大破。
99.05.01  コソヴォでミサイルがバスを爆撃。ユーゴスラヴィアのTV報道によれば、39人が死亡。NATOは「遺憾の意」を表明。
99.05.07  クラスター爆弾[破裂すると破片が飛散して広範囲に被害を及ぼす]がニシュNisの住宅地で爆発。ユーゴスラヴィア当局によれば15人死亡、70人重傷。同日、ソフィア近郊でもミサイルが爆発、怪我人はなし。ブルガリア領内では5度目の「誤爆」。
99.05.08  ベオグラードの中国大使館に爆撃。新華社によれば、光明日報(北京の有力日刊紙)の在ユーゴスラヴィア記者許杏虎Xu Xinghu氏と妻の朱頴Zhu Ying氏、在ユーゴスラヴィア新華社記者邵雲環Shao Yunhuan氏の3人が死亡。ただしユーゴスラヴィア当局は4人の死亡を伝えている。NATOは「悲惨な事故」として遺憾の意を表明。
(taz 99.05.10 "Uups, 'tschuldigung" Die Liste der Fehlschlaege der Nato seit dem Beginn der Luftangriffe auf Jugoslawien)

フェヒミ・アガニの遺体確認
  3月末から殺害説が流れていたLDK(コソヴォ民主連盟)の政治顧問フェヒミ・アガニFehmi Agani氏について、5日8日のユーゴスラヴィア・ベタBETA通信は、警察が7日、氏の遺体をプリシュティナ南方30kmのリプリャニLipljaniで発見したと伝えた。同通信は、氏がUCKによって殺されたと報じている。一方、ドイツ外務省スポークスパーソンのマルティン・エルトマンMartin Erdmann氏は、アガニ氏が6日にプリシュティナ近郊でセルビア警察に列車から引きずり出され、死亡するまで警察当局に拘束されたとの情報を得ていることを述べた。
 イタリア紙「レプッブリカRepubblica」によれば、ローマで欧州議会議員らとの会談に臨んでいたイブラヒム・ルゴヴァLDK代表(『コソヴォ共和国』大統領)はアガニ殺害の報を受け、「コソヴォ民衆はこの犠牲で計り知れない損失を被った」と述べた。またUCKによる殺害説については「UCKもアガニには敬意を払っていた」とこれを否定した。
(taz 99.05.10)






迫撃砲
 5月14日午後8時35分、セルビア軍がトロポヤTropojeに向けて迫撃砲で攻撃、旧トロポヤTropoja e vjeter−バイラム・ツリBajram Curri間の道路に砲弾が3発落ちた。被害はなかったが、同地区のアルバニア軍部隊が警報を発令、付近住民が一時避難した。 一方、同日午前0時55分、ハスHasのドブルナDobrune村に向けてセルビア側から砲撃が行われた。多数の銃弾に加えて砲弾10発がゴライGolaj村付近に着弾。被害はなし。
 既にレタイLetaj、ドブルナ、ゼチZecその他の村からは住民が退去、男性が残って攻撃に備えている。
(ATSh 99.05.14)

金曜日のクカス
 5月14日、クカスKukesから周辺地区へ5545人のコソヴォ・アルバニア人が移動した。クカスに到着した避難民の総数は408253人、同地域から周辺地域へ移動した総数は309592人にのぼる。
 前日の13日にもモリナMorineの国境を越えて90人が到着。いずれも負傷しており、うち1人は脚が折れていた。大半は、UCKとセルビア軍の戦闘が続いているスハレカSuharekeやマリシェヴァMalishevaから。この人達によると、ジュラZhure−モリナ間の道路ではセルビア民兵が避難民の中から男性や若者を捕まえて、越境させないようにしているという。
(ATSh 99.05.14)

「虹」作戦[されど『狼』部隊にあらず]
  イタリアによる人道救援活動、通称「虹Ylberi」作戦によって3月末からここ6週間でドゥラスDurres港に到着した船は計33隻、コンテナ総数は1186個にのぼる。コンテナはそれぞれ8〜9トンで、中身は主に食料、衣料、医薬品に避難用テント一式。またこれらの船舶によって、赤十字その他の活動支援者約2220人と自動車690台以上も到着している。
(ATSh 99.05.14)

放っておくと将来に関わる
 ポグラデツPogradecにあるRefleksione協会では、数日前からコソヴォ・アルバニア人の女性や子供に対するメンタル・リハビリテーションの活動に着手している。会長のアフロヴィティ・グショAfroviti Gusho氏によれば、この作業にはティラナの「女性のための相談センターqendra e keshillimit per grate dhe vajzat」の協力で行われ、セルビア側による暴力行為から生き残った女性や子供のために、新しい心理的環境を用意することを目指している。実際、同市に滞在する女性や子供の中にも、ストレスから来る体調不良、筋肉の硬直、身体の震え、不眠、理由もなく涙が流れる、などの症状が現れている。
(ATSh 99.05.14)

ゴムボート
 イタリアの財務警察Guardia di Finanza[密輸密入国を取り締まる機関]当局によれば、5月14日未明から早朝にかけてイタリアの海岸を目指していたゴムボート計7隻が同警察とアルバニア国境警察に発見され、密入国者計244人がヴロラVloreへ送還された。イタリア警察はボート2隻を押収、ヴロラ出身のアルバニア人2名を首謀者として逮捕した。
(ATSh 99.05.14)

正教会による支援
 ジロカスタルGjirokasterのアルバニア正教会から5月13日午後、アナスタスィオス・ヤヌラトスAnastasios Janullatos主教(ティラナ、ドゥラス及びアルバニア全教区を統括)の名で同地のコソヴォ・アルバニア人に救援物資10トンが贈られた。
(ATSh 99.05.14)

フランス軍 支援物資を搬送
 エルバサンElbasanに展開しているフランス軍部隊が、自国政府からの救援物資の市内配布に協力した。聖ペトロShen Pjetri教会などに収容されている避難民に350箱、同市第1地区だけでも700箱の救援物資が配られた。中身は食糧や洗剤など。地元の人道援助団体「ウルティアナUltjana」も協力した。配布に当たっては避難民の氏名と滞在先があらかじめ調べられ、誤送や不正がないよう注意が払われたという。 (ATSh 99.05.14)

アルバニア−モンテネグロ国境
 5月14日、ハニ・イ・ホティトHani i Hotit[北部の都市シュコダルShkoderから30km。モンテネグロとの国境にあたる]を越えてコソヴォから計500人が到着。女性、子供、老人が主で、全員バスでミェダMjedeの駅へ移動、クカスKukesからの避難民と共に、列車で南部へ向かった。前日も500人がペヤPejeやミトロヴィツァMitrovicaから越境、シュコダルのタバコ工場を利用した仮施設に収容された。 (ATSh 99.05.14)

マケドニア経由で
 コルチャKorceから5kmのチャトロミQatromi避難民キャンプに5月14日、マケドニアから来たコソヴォ・アルバニア人家族計60人が到着した。登録作業にあたったUNHCR職員によれば、収容後の全員の健康状態は普通。  コソヴォ州都プリシュティナPrishtineのプルゴフツPrugovcから来たハイディ・ドラグシャHajdi Dragusha氏(40)によると同地では、若者12人に加え、70歳のバフティル・ベリシャBahtir Berisha氏までセルビア軍と民兵によって処刑され、家はすべて焼かれたという。
(ATSh 99.05.14)

新刊書
 今週は特に翻訳書の出版数が少なかった。ウエゲンUegen社からドストェフキィ、ラベリアLaberia社からマーク・トウェインの翻訳がそれぞれ1種類ずつ。
 ベスニク・メタBesnik Metaの「ラミズ・アリアの守衛の監獄」は、労働党時代の最後の指導者ラミズ・アリアRamiz Alia第一書記[91年に初代大統領]の守衛を勤めた作者の回想記。ネライダNeraida社刊、200レク。
 シャバン・スィナニShaban Sinani「地政学におけるコソヴォ」はここ2年間のコソヴォ情勢を分析。ドリテロDritero社刊。
(ATSh 99.05.14)

創立記念日
 エルバサンElbasanの「オヌフリOnufri」芸術高等学校が創立40周年を迎え、13日に同市の造形美術館で記念式典が開催された。「スカンパSkampa」劇場が協賛。
 式典では、オーケストラによるモーツァルトとベートーヴェンの名曲演奏、同校の卒業生であり教師でもあるケティ・チョスャKeti Qosjaによる華麗なピアノが披露された。中でも見ものだったのは、これまた卒業生であるカストリオト・トゥシャKastriot Tushaのテノールとズィナ・ズドラヴァZina Zdravaのソプラノによる競演だったとか。
 また会場となった美術館及び高校の校舎内には生徒45名の絵画や彫刻が展示された。
 同校はアンドン・ラクリチAndon Lakuriqiら著名な芸術家達によって1959年、それまでの小学校[アルバニアは8年制]から高等学校へ改組された。
(ATSh 99.05.14)

まもなく10万人
 ティラナに入ったコソヴォ・アルバニア人の数は5月14日の時点で95000人を越えた。市当局では、この調子で流入が続けば来週中に10万人を突破するだろうと見ている。
ティラナ区だけで74839人のコソヴォ・アルバニア人が滞在しており、うち63448人は一般家庭に、他は収容施設で生活している。
(ATSh 99.05.14)

言ってるそばからついに10万人
  ティラナに流入したコソヴォ・アルバニア人の数は、5月14日に10万人を突破した。
(ATSh 99.05.14)

されど新しい生命
  ヴロラVloraでは、これまでにコソヴォ・アルバニア人の女性が27人の新生児を出産した。
(ATSh 99.05.14)



NATO記念切手
 アルバニアの印紙発行委員会Komisioni Shteteror i Pullaveが新しい切手のデザインを発表した。一つはNATOのエンブレム[たぶん、例の方位針みたいなマークのこと]、もう一つはホロコーストをデザイン[ドイツのだかコソヴォのだか、記事の文面からは不明]したもの。ギリシアで印刷され、アルバポストAlbapost社が販売する。
 ちなみに、アルバニアでは毎年平均14種類の新しい切手が発行されており、国際展示会にも出品されている。
(ATSh 99.05.15)

ATShにプレスセンター開設
 5月15日午前、アルバニア国営通信(ATSh)社内に国際プレスセンターが開設された。開設祝いの挨拶を兼ねて、ムサ・ウルチニMusa Ulqini情報相が記者会見を行った。
 同センターは朝8時から午前0時まで、ロイターReuter(英)、AFP(仏)、ANSA(伊)、dpa(独)その他の通信社、そして勿論アルバニア国営通信社の記者に正確で迅速な情報を提供する。センター内には電話、FAX、インターネット、更にFTP(画像配信システム)が完備されており、一日の主要事件も掲示される他、アルバニア政府高官との会見も行えるようになっている。
(ATSh 99.05.15)

ウルチニ情報相の会見
 そのプレスセンター開設記念会見でムサ・ウルチニMusa Ulqini情報相は、クカスからの移動についてコソヴォからの避難民が同意していないという話について「そうした人はごく一部である」と強調、当初10万〜12万人だったクカスの避難民数が現在8万人まで減ったことをあげた。
 コソヴォからの避難民が100万人を突破するのは時間の問題では?との質問に同相は、「NATOの作戦が早期に成功し、避難民のコソヴォ帰還が実現すると確信している」 と答えた。
 G8決議にコソヴォ政治勢力が留保をつけている件については、「アルバニア政府としては、G8がNATO5原則を尊重しており、あらゆる提言がそれに則って合意されていると公式に認めている」とした。
(ATSh 99.05.15)

改正関税法 施行
  新しい関税法kodi doganorと関税率tarifa doganoreが5月15日より施行された。これにより、業者が商品mallraの通関dogana手続き時に支払う最低額cmimi dyshemeが引き上げられる。
  アドリアナ・ベルベリAdriana Berberi大蔵次官は「これで業者は、送り状faturaに示した価格にもとづいて商品の通関手続きをとるようになるだろう」と述べている。業者が商品の購買価格cmimi i blerjesとは別にその通関手数料を支払うので、大半の商品では価格が安くなる。アルディアン・マチArdian Maci関税局長によれば「最低額の変更は密輸kontrabandaを減らし、納税逃れに対する強力な武器となる」。
(ATSh 99.05.15)
 

アテネで組織犯罪対策をめぐる議論
 ドイツの対外関係研究所Foreign Relations Instituteが主催する17回目の国際会議が「民主主義における組織犯罪との闘い」をテーマに、5月10日から12日までアテネで行われた。出席者の大半は旧「東側」諸国からの参加で、犯罪とその影響について議論が行われた。
  アルバニア公安省のバイラム・ユゼイリBajram Yzeiri次官が、アルバニアにおける公安行政と組織犯罪の現状、その要因と対策について報告。ドイツ内務省のレーゲンスブルガーRegensburger次官の提起で、ユーロポールEuropolやインターポールInterpolの代表を加えた参加者が、犯罪防止の国際協力の方策を討議した。
(ATSh 99.05.15)

ドゥラス混雑
 ドゥラスDurres港に到着する人数が、イタリア、クロアティア、ギリシア船舶のフェリー利用者を中心に30%上昇。同港での往来者数は、今年に入って最初の4カ月間で121920人。4月だけでも48150人で、到着が26655人、出発が21494人[?計算が合わん]。大半が支援活動のためにやって来た外国人、ただし軍関係者は統計に入っていない。船舶数は今年に入って最初の4カ月間で463便、4月だけでも167便。
(ATSh 99.05.15)

マイコ首相コルチャへ
 パンデリ・マイコPandeli Majiko首相は5月16日、NATOのレイス将軍やメタIlir Meta副首相、デメティArben Demeti地方自治相、ウルチニMusa Ulqini情報相、イスラミKastriot Islami特別相と共にコルチャKorceへ向かう。現地のNATO軍や避難民キャンプを訪問、ポグラデツPogradec市庁舎で会談予定。
(ATSh 99.05.15)

28歳男性重傷
 シュコダルShkoder湖のほとり、コプリクKoplikから10kmのShegan村近くでユーゴスラヴィア国境部隊が民間人に発砲、重傷を負わせた。撃たれたのはホトHot村に住むユリ・ヴライYlli Vullaj(28)氏。警察によると、5月15日朝7時半、同氏が他の村民2人とボートで湖を渡っていた際にユーゴスラヴィア領を侵犯、国境警備艇に包囲され狙撃された。同氏はシュコダルの病院に運ばれたが、重傷で危険な状態にある。
 ユーゴスラヴィア軍が直接アルバニアの民間人を撃ったのは、今年に入って初めて。
(ATSh 99.05.15)



コチがポチに?
  5月16日付の独立系日刊紙「コハ・ヨネKoha Jone」によれば、パンデリ・マイコ首相は、先日辞任を撤回したペトロ・コチPetro Koci公安相を更迭し、社会党(PS)ティラナ地区委員長のスパルタク・ポチSpartak Poci氏を後任とするよう、メイダニ大統領に提案していることを15日明らかにした。同日、独立系紙「ガゼタ・シュチプタレGazeta Shqiptare」は「政権危機に」と題し、この首相案に大統領はまだ返答していないと報じている。
(ATSh 99.05.16)

ベリシャ  地方から戦闘開始
  5月16日付「Gazeta Shqiptare」は上記の題で、民主党(PD)のサリ・ベリシャSali Berisha代表[前大統領]が15日から地方遊説を開始したことを報じた。同日、民主党機関紙「リリンディア・デモクラティケRilindja Demokratike」はベリシャ氏の言葉を紹介;コソヴォがチャメリアと同じ運命をたどってはならない![チャメリアCameriaはギリシア北部−アルバニア南部の国境にまたがる地域]
(ATSh 99.05.16)

共和党  サチ臨時政府を承認
  5月16日付の独立系日刊紙「シェクリShekulli」によれば、民主党に次ぐ中道右派政党である共和党(PR)は15日の記者会見で、コソヴォ解放軍(UCK)を主体とするコソヴォ臨時政府(ハシム・サチHashim Thaci首相)を承認すると述べた。
(ATSh 99.05.16)

大移動作戦
  セルビア軍によるクカスKukesへの攻撃波及に伴い、他地区へのキャンプ設営と避難民の移送が開始された。今週オーストリア軍はシュコダルShkoderに5000〜7000人収容可能な施設を建設。現在クカスには80000人の避難民がおり、5月14日だけでアルバニア軍とNATO軍の車輌により4689人が移動した。
  同時にNATO軍はアルバニア軍と協同で、クカス−プカPuke間を含むアルバニアの幹線道路の補修工事を続けている。計画には、砲撃によって破損した施設の修繕も含まれている。
(ATSh 99.05.16)

夏期学校開設
  南部の港湾都市ヴロラVloraでは、避難民のための夏期学校が6月6日から開校することになった。コソヴォ出身の教師40名に、ヴロラ市で選んだ専門家が加わり、授業にあたる。もちろん教科書類は避難民の子供達にも配布される。またヴロラの一般家庭に滞在している子供達については、アルバニア教育省の指針にもとづき、市内の学校への入学手続きが行われる。
  現在ヴロラに留まっている避難民の35%が子供で、その半数は学齢に達している。
(ATSh 99.05.16)

ソロス財団も
  ソロスSoros財団はエルバサンElbasanにおける夏期学校開設のため、プリシュティナで使用されていた初等教科書の増刷のための資金を援助。各避難民施設に学用品セット400箱、またシュシツァShushicaのキャンプ向けに机50+椅子100を寄贈した。
(ATSh 99.05.16)

18人
  チャファ・エ・プルシトQafa e Prushitの国境検問所を越えてきた避難民55284人の大部分は地元住民の家に滞在しているが、その中には18人の新生児が含まれている。ドレニツァDrenicaやジャコヴァGjakovaから逃れてきた親のいない子供達の年齢層は3ヶ月から11歳まで。現地の人道援助団体Ulpjanaのコーディネイターであるズュメル・ベリシャZymer Berisha氏は、この子供達が地元で充分な保護を受けたと述べている。
(ATSh 99.05.16)

更に400人
  北西部国境のハニ・イ・ホティトHani i Hotitには5月15日から16日にかけて400人のコソヴォ・アルバニア人が到着。多くはペヤPejeとグリナGlineからの避難民。
(ATSh 99.05.16)

ドゥラスでは
  国際港湾都市ドゥラスDurresに入ったコソヴォ・アルバニア人の数はこの50日間で80197人。半数以上の48675人がドゥラス市内に留まり、うち85%は一般家庭に滞在。現地にはUNHCRと国際赤十字の組織する救援センターが15箇所設置されている。
  またティラナ北方のクルヤKrujeには、近隣のフシャ・クルヤFusha Krujeも併せて7697人の避難民が留まっている。
(ATSh 99.05.16)

TV局の危機  再び
  5月15日午後11時、クカス北方、ハスHasのレタイLetaj村にあるアルバニア国営TV局の中継所附近にセルビア軍の砲撃があった。被害はなし。
  同村は5月3日にも攻撃を受けており、これまでに1人が死亡、家屋2軒が損壊、小学校が一部破壊されている。女性と子供は既に他地区へ退去。男性は塹壕に残り、攻撃に備えている。
(ATSh 99.05.16)

ゾガイに砲撃
  5月16日午前0時から同0時半にかけて、トロポヤTropojeのゾガイZogaj村にセルビア軍が砲撃、砲弾は無人地帯に着弾したため被害はなし。現在、アルバニア軍歩兵第2師団が現地に展開。
(ATSh 99.05.16)

UCK負傷兵
  5月15日、バイラム・ツリBajram Curri市内の病院に、コシャラKoshareから移送されてきた負傷者10人が運び込まれた。コシャラはコソヴォ解放軍(UCK)の支配下にあり、コソヴォ領内の戦闘で負傷した兵士をアルバニア国内へ移送するための中継地点になっている。
  同病院には4月以降少なくとも100人の負傷者が運び込まれており、重傷者はヘリでティラナへ移されている。
(ATSh 99.05.16)


モンテネグロ副首相 ドイツ紙に語る >こちらへ

ベオグラードから日本ネタ
  TANJUGがロシアのITAR-TASS通信の報道として伝えたところによると、日本の高村外相[原文ではカームラと誤記。知名度低いぞ!]は5月16日、NATOのユーゴスラヴィア空爆は国際法にまったくもとづいていない、と述べた。
  外相は或る地方TV局で、国際法の基準による、いわゆる「人道的介入」を可能にするような「明白な法的機関は存在しない」と語った。[曜日から見て『サンデープロジェクト』か『報道2001』か、はたまた『日曜討論』?]
(Politika 99.05.17)



「Koha Ditore」復刊
  コソヴォ・アルバニア人の代表的日刊紙「コハ・ディトレKoha Ditore(『日刊時代』)」は空爆開始直後から発行を停止され、インターネット上からも消息が途絶えていたが、マケドニアのテトヴォTetovoで避難民向けに発行を再開していることが明らかになった。1997年4月の創刊以来、セルビア当局による発禁処分や罰金措置などに屈しなかったアルバニア語新聞は、いま散り散りになった社員と機材を集め、テトヴォ市中心の某インターネットカフェで活動を続けている。
  なおこの記事では、3月末に殺害説が流れた編集長バトン・ハヂウBaton Haxhiu氏(33)も取材に応じており、同氏の健在が確認された。
(taz 99.05.18)

ブレア英首相 アルバニア訪問
  イギリスのトニー・ブレアTony Blair首相が5月18日午前9時、ティラナのリナス空港に到着。直ちに軍用ヘリでエルバサンElbasanのミェケスMjekesへ向かい、イギリス軍の支援によって設置された避難民施設を訪問した。午後にティラナへ戻り、首相官邸前で市民数百人の歓迎を受けた後、マイコ首相やメイダニ大統領と会談。ブレア首相は会談後の記者会見で、アルバニアに対する支援継続を確認すると共に、NATOとして目的達成までユーゴスラヴィアへの空爆を続けることを強調した。同首相のアルバニア訪問はこれが初めて。
  一方、民主党のベリシャSali Berisha党首は17日、ユーゴスラヴィアに対する地上軍投入をイギリスが積極的に示唆している点について、これを歓迎すると述べた。
(ATSh 99.05.18)

インターネットで
  アルバニア国営通信(ATSh)も加盟しているバルカン諸国通信社連合(Association of the Balkan News Agencies; ABNA)が、コソヴォからの避難民に関する情報を提供するインターネットのホームページ(http://www.abna.org/kosovo/refugees)を開設した。これは、5月7日と8日にギリシアのセサロニキで開かれた臨時会合で決まったもの。避難民から家族・親戚へのメッセージ、或いは避難民から離れ離れになった家族・親戚へのメッセージを受け付けている。
  アルバニア国内の問い合わせ先;355 42 511 52
(ATSh 99.05.18)

国境地帯の動き
  セルビア軍は5月17日、午後6時から1時間以上にわたってハスHasのレタイLetaj村へ砲撃を続けた。これにアルバニア軍が応戦し、セルビア軍は一旦退却。しかし翌18日午前4時半、同じくハスのヴラハンVllahan村へ砲撃が行われたため、再びアルバニア軍が応戦、約2時間後に攻撃は止んだ。
  一方マレスィア・エ・マゼMalesia e Madhe区警察の情報によると、16日午後、ハニ・イ・ホティトHani i Hotitのアルバニア−ユーゴスラヴィア国境が閉鎖された。
  ここ50日間で、ハニ・イ・ホティトの国境検問所からアルバニアへ入ったコソヴォ・アルバニア人は4万人に達しており、その多くがシュコダルShkoderの施設に収容されている。ちなみにここの検問所は97年から99年3月まで、ユーゴスラヴィア側で一方的に閉鎖されていた。またロジャヤRozhajeから出発した避難民のバスが、アルバニアとの国境の手前3kmの地点でセルビア兵に行く手を阻まれ、18歳から50歳までの男性150人が連行された。行き先は不明。
  クカスKukesには5月17日午前6時から午後6時までの半日間で、車120台に便乗したコソヴォ・アルバニア人1350人が到着。
(ATSh 99.05.18)

人道援助は続く
  ドゥラスDurresのラシュブルRrashbullでは、イタリア軍が人道活動「虹Ylberi」作戦の一環として設置を準備してきたラシュブル第2キャンプが1週間以内に完成する。2750〜3000人を収容可能で、難民担当事務局「ECHO」とEUが共同管理する。ちなみに第1キャンプはドゥラス市から5kmの地点で既に開設されており、「第2」はその1km先。
  一方テュニジアのムヘンニHedi M'Henni保健相と保健省代表団が18日にアルバニアを訪問、アルバニア保健省、「マザー・テレサ」中央病院(QSU "Nene Tereza")の医師や及び世界保健機構(WHO)の現地職員らと、アルバニアに対する今後の医療援助について会談した。19日にはマイコMajko首相とも会見予定。
(ATSh 99.05.18)

預金流出
  アルバニア中央銀行によると、98年12月末の時点で銀行からの預金引き出し額は44億ドルだったが、99年4月に入ってその額が68億ドルに急増している。コソヴォ・アルバニア人の大量流入と、それに関連して外国人の入国が急増したためと考えられる。一方、こうした通貨の流通が中小企業による経済活動の活性化につながっているという見方もある。
(ATSh 99.05.18)

返済期限延びる
  パリ・クラブParis Club[主要先進債権国会議]の総会は、アルバニアのAnastas Angjeli蔵相に書簡を送り、現在アルバニアが抱える債務6000万ドルについて、「現下の債務国の置かれている状況を考慮し」て返済期限を2000年3月末まで延期すると伝えた。同事項は2週間前にパリ・クラブにて決定されており、加盟各国にも既に了承の用意があるとしている。
(ATSh 99.05.18)



コチがポチになる
 5月19日午後の情報省発表によれば、メイダニRexhep Mejdani大統領はスパルタク・ポチSpartak Poci氏を新しい公安相に任命した。
(ATSh 99.05.19)

国連事務総長アルバニアへ
 コフィ・アナン国連事務総長が5月20日にアルバニアを公式訪問する。朝9時45分にティラナのリナスRinas空港に到着後、空港内で現地の国連・NGO代表らと会見。午後1時45分からクカスKukesの避難民キャンプを訪問、その後ティラナでメイダニRexhep Mejdani大統領、マイコPandeli Majko首相、ジヌシSkender Gjinushi人民議会議長らと会見。午後5時から旅団宮殿Pallati i Brigadaveで記者会見を開き、午後6時15分にアルバニアを発つ予定。
(ATSh 99.05.19)

一致への模索
 パスカル・ミロPaskal Milo外相は5月19日の記者会見で、コソヴォのすべての政治・軍事勢力に対し、「あらゆる勢力がランブイエ会談の合意を尊重しているという前提の下で、ティラナに集まって話し合い、共通の結論を見出すべきだ」と「円卓会議」の必要性を主張した。先日アルバニアを訪問したブレアTony Blair首相も、UCKのヤクプ・クラスニチJakup Krasniqi代表らと会見した際に同様の見解を出し、コソヴォ各勢力の団結を求めている。
 穏健派であるLDK(コソヴォ民主連盟)のイブラヒム・ルゴヴァIbrahim Rugova代表はここ数週間、西欧諸国の要人らと相次いで会見しているが、いまだティラナに来たことがない。この点について同相は、「まだ彼と連絡を取っていない段階で判断は差し控えたい」としながらも「既に50万に達した国内のコソヴォ・アルバニア人のため、彼はここに来るべきだ」「おそらくそれは、私がマケドニアへ行くよりも早いだろう」との考えを示した。
 またパンデリ・マイコPandeli Majko首相は、在米アルバニア人団体「祖国は訴えるVendlindja therret」代表のナザル・メフメティNazar Mehmeti、ブルノ・セリミBruno Selimi両氏との会談で、「アルバニア国内の政争をコソヴォへ『輸出』することのないように、また逆にコソヴォの危機がアルバニアに『輸入』されないように」と述べ、「今は、分断の対象でなく、統一の対象を求めるべき時期」であり「これまでのアルバニアの歴史において見られたのと同様に、今また多くの英雄や愛国者が求められている」と強調した。
(ATSh 99.05.19)

避難民の生活を映画化
 避難しているコソヴォ・アルバニア人達の生活をおさめたドキュメンタリー映画の製作が、コソヴォ出身の映画監督2名を加えて進められている。シヤクShijak、ゴレミGolemi、ポグラデツPogradec、コルチャKorce、エルバサンElbasan、フシャ・クルヤFushe Kruje、シュコダルShkoder、シャンジニ・イ・ディヴャケスShengjini i Divjakes、フィエルFierで行われたコンサートの映像を中心に、避難民の生活の一端をフィルムに収める。コンサートには芸術アカデミー、民族舞踊・歌謡アンサンブル、軍音楽隊が参加。歌手ヒュスニ・ゼラHysni Zelaとシュチペ・ザニShqipe Zani、舞踊家レヂェプ・チェリクRrexhep Celikuとゲンツ・カストラティGenc Kastratiに、芸術アカデミーの学生らが出演し、ソロス財団が製作を支援する。
(ATSh 99.05.19)

フェヒミ・アガニ叙勲
 憲法の当該条項による規定と「アルバニア共和国叙勲法」にもとづき、科学アカデミーの要請を受けてレヂェプ・メイダニRexhep Mejdani大統領は5月19日、フェヒミ・アガニFehmi Agani氏に対し、「コソヴォにおける学術振興への多大な貢献、コソヴォ問題の解決とその擁護のための献身」により「ジェルジ・カストリオト・スカンデルベウ」勲章Urdher Gjergj Kastrioti Skenderbeuを授与するとの声明を出した。
(ATSh 99.05.19)[ほとんど原文通り]



最高裁人事
 5月20日の人民議会は、メイダニRexhep Mejdani大統領の推薦にもとづき、スィミオ・コンディThimio Kondi前法相を長官とする最高裁[旧・破毀院]判事4名の人事を決議した。前任4名が7年の任期を満了したことを受けた措置。4名は次の通り(カッコ内は前任者);
 長官 スィミオ・コンディThimio Pano Kondi (アヴニ・シェフAvni Shehu)
 アグロン・ラマイAgron Asllan Lamaj (アギム・シュクピAgim Shkupi)
 ニコレタ・キタNikoleta Llazi Kita (アギム・ジョレカAgim Gjoleka)
 アルタン・ホヂャArtan Nexhdet Hoxha (ゼフ・ニカZef Nika)
 この件について、野党側からは反対の動きが起こった。テオドル・ラチョTeodor Laco議員は議員総数の5分の1の署名を取りまとめ、憲法裁判所による審査を得るよう主張。またアルベン・イマミArben Imami議員は、「最長2008年まで任期を勤める以上、4候補についての情報を世間に充分提供すべきであり、まず法務院と憲法裁判所がことに当たるべきだ」と人民議会の単独採決に反対した。
 しかし結局、人民議会の圧倒的多数により新人事は可決された。
(ATSh 99.05.20)

イブラヒム・コドラ伝 出版へ
 現代アルバニアの代表的芸術家イブラヒム・コドラIbrahim Kodraの生涯を描いた「イブラヒム・コドラの思い出Kujtime mbi Ibrahim Kodren」が、今週オヌフリOnufri社から刊行される。著者は、イタリア人でコドラの親友でもあったデメトリオ・パティトゥチDemetrio Patituci氏。
  イブラヒム・コドラは1918年にドゥラスDurresのイシェムIshemに生まれ、アルバニアの偉大な彫刻家オヅィセ・パスカリOdhise Paskali[ティラナ中央広場のスカンデルベウ像の作者の一人]に師事。イタリアで絵画を学び、以後かの地を拠点に製作活動を続け、かの「ビエンナーレ」では同時代人であるピカソ、シャガール、マティスらと並び評された。フランス・アカデミーから「芸術のための芸術ars gratia artis」賞、アルバニアでは1996年に「国民栄誉賞Nderi i Kombit」を受けた。
(ATSh 99.05.20)

標的にされる村
 ハスHasのドブルナDobrune村に、5月20日午前0時から午前2時にかけてセルビア軍による機関銃の連続射撃が行われた。家屋に多数の弾痕が残ったが、住民は既に避難しており、人的被害はなかった。19日午前中にもトロポヤTropojeのジェルカZherkeに向けて、30分にわたる攻撃があったばかり。
(ATSh 99.05.20)

防壁にされる人
 「コソヴァプレスKosovapress」の報道によれば、コソヴォ東方、グロゴツGllogocのクライコヴァKrajkoveにある学校には、20代のコソヴォ・アルバニア人50人がセルビア人警察によって集められ、強制労働に駆り出されている。  ドレニツァDreniceでは現在もなお、セルビア軍が住民の服飾品や貴重品を強奪し、あげくに住居から追い出している。同じことはアブリAbri、タルデツTerdec、ダマネクDamanek、そしてクライコヴァの各村でも行われ、住民はシュトルブロヴァShtrubulloveやチカトヴァCikatoveへ送られたという。
 また、コソヴォ南方フェリザイFerizajのロシュコバレLloshkobare村はセルビア軍によって地雷が埋設されており、5月18日午後、この地雷でアルバニア人3名が負傷した。同じくフェリザイのイェゼルツJezerc村も地雷原と化している。現地情報では、村を退去するアルバニア人の列から10人が捕えられ、リピャニLipjaniの刑務所に送られたという。
(ATSh 99.05.20)

PUKの見解
 国民統一党(Partia e Unitetit Kombetar; PUK)のイダイェト・ベチリIdajet Beqiri党首は5月20日の記者会見で、コソヴォの各政治勢力へ団結を呼びかけると共に、コソヴォ民主連盟(LDK)のルゴヴァIbrahim Rugova代表と民主党(PD)のベリシャSali Berisha党首の政治姿勢を「ミロシェヴィチとの妥協があり得るなどと考えている」と非難した。特にルゴヴァ代表については、コソヴォ解放軍(UCK)のハシム・サチHashim Thaciを首班とする臨時政府を認めない、誤った平和主義路線だと批判。党として米英を支持すると共に、UCKとサチ政権を支援するとの声明を出した。
(ATSh 99.05.20)

EU奨学金
 ストラスブールの欧州理事会によって、「東欧諸国の文化振興政策の一環として」学術文化における専門家養成のための20種類から成る奨学金制度が設立され、これを受けてアルバニア文化省も関連事務に着手した。第一段階としてアルバニアに学術振興事業のための事務所を設立、第二段階としてアルバニアの専門家志望者を西欧諸国の学校へ留学・研修させることになる。
 同理事会では同時に、コソヴォからの避難民キャンプに絵画鑑賞施設を設けるNGO活動を支援するための基金も承認された。
(ATSh 99.05.20)

土砂崩れ
 アルバニアとマケドニア、ギリシアを結ぶチャフェ・サネQafe Thaneの幹線道路で大規模な土砂崩れがあった。200メートルが土砂に埋まり、カーヴが8〜22メートル狭まったため、3日にわたって交通が困難な状態となった。復旧工事は進んでいるが、現地当局者によると、土砂の崩落が続いているため工事は完全に済んでいない。
(ATSh 99.05.20)

61000人以上が家庭に滞在
 ティラナ当局によれば、既に61000人を越えるコソヴォ・アルバニア人がティラナの一般家庭に引き取られており、今やクカスに次ぐ避難民の受け入れ地となっている。
 これまでにティラナとその周辺を含めた地域に83329人のコソヴォ・アルバニア人が到着し、うち69657人が一般家庭に、11158人が避難民キャンプに滞在している。またティラナ市当局に正式登録したコソヴォ・アルバニア人の総数は104761人にのぼり、うち84997人が一般家庭に、19764人が避難民キャンプに滞在している。
(ATSh 99.05.20)

輸入額急増
 1999年のアルバニア国内への輸入額(単位レク。カッコ内は1998年)は、1月83億9300万(81億8600万)、2月79億3600万(97億8300万)、3月99億100万(105億6200万)、4月196億8000万(97億2700万)で、1999年第一四半期の輸入総額は459億1000万(382億5800万)となった。コソヴォの状況悪化を受けて人道援助を含む海外からの物資が4月以降倍増し、輸入総額を引き上げたと見られる。
(ATSh 99.05.20)

NGO
 クカスKukesとハスHasのUNHCR現地コーディネイターであるヂェミル・シャフXhemil Shahu氏によると、現在クカスで活動しているNGO(非政府組織。アルバニア語ではorganizata joqeveritare;OJQ)の数は40にのぼる。特に多いのはコソヴォのNGO。活動している人数は明らかでないが、妥当な人数だと言われている。
 NGOメンバーの給与は200〜400ドルと幅がある。
(ATSh 99.05.20)

国連事務総長アルバニアを訪問、そして去る
  コフィ・アナン国連事務総長がアルバニア公式訪問のため、5月20日10時半にティラナ・リナス国際空港に到着した。
  レヂェプ・メイダニRexhep Mejdani大統領、ナミク・ドクレNamik Dokle副首相、パスカル・ミロPaskal Milo外相の随行で、事務総長はまずヘリに乗ってクカスKukes市へ向かった。事務総長は、市の中央広場に集まった数千人のコソヴォ・アルバニア人の前に着陸。クカス市当局者のもとを訪問し、現地の困難な事情や、地元住民や国際社会による連帯・救援活動の模様について話を聞いた。この会見で事務総長は、クカス市民の献身に感謝し、国際社会による支援の継続を約束した。
  この後、事務総長は、メイダニ大統領と共にUNHCRの避難民キャンプ、さらにイタリア政府によって設置されたクカス第2キャンプを訪ねた。避難民は、セルビア軍による暴力行為の実態を事務総長ら一行に訴えた。クカスにはこれまでに40万人のコソヴォ・アルバニア人が流入したが、大半は他の都市へ移動しており、同市には現在8万人が残っている。
  事務総長は午後2時にティラナへ戻り、午後から旅団宮殿Pallati i Brigadaveにてメイダニ大統領、スカンデル・ジヌシSkender Gjinushi人民議会議長、パンデリ・マイコPandeli Majko首相、ドクレ副首相、ミロ外相らアルバニア政府要人と会談。5時15分に会談を終了、宮殿から直接UNHCRのヘリでリナス空港へ向かい、アルバニアをあとにした。 7時間足らずの滞在だった。なお、会談後の声明等は発表されず、予定されていた記者会見もキャンセルされた。
(ATSh 99.05.20)


右派 最高裁人事に反発
 民主党(PD)を中心とする右派の連立会派「民主同盟Bashkimi per Demokraci」は5月21日、前日の人民議会でアヴニ・シェフAvni Shehu最高裁長官に代えてスィミオ・コンディThimio Kondi前法相が選出されたことについて、「憲法違反の行為」と非難した。民主党のヴィリ・ミナロリVili Minarolli氏は、最高裁長官の場合は2002年まで任期延長が可能なはずだと指摘。ただし、そもそも前提となる最高裁判事としての任期7年が終わっていることには言及せず。
(ATSh 99.05.21)

EUより2000万ユーロ
 欧州委員会は、コソヴォ避難民対策のための対アルバニア財政援助を実施する書面に署名した。アルバニア側の署名によって発効する。同国の国家経済の改良プロジェクトを引き続き支援し、マクロ経済の安定を図る。総額6200万ユーロから、まず1週間以内に2000万ユーロが贈与される。
(ATSh 99.05.21)

カナダとギリシア
 メイダニRexhep Mejdani大統領はカナダのダイアン・マーリー経済協力相と会談[同行したPellumb Xhufiを英語版で"Foreign Minister"としているが、何かの間違いでは?]した。同相はアルバニアへの支援と、現在の紛争解決後も地域経済の発展に協力することを確認。同時にアルバニアのエルメリンダ・メクスィErmelinda Meksi経済協力相との会談で、アルバニアのWTO(World Trade Organization世界貿易機構)加盟に向けて協力することを約束した。
 また大統領はアレクサンドロス・マリアスAleksandros Malliasギリシア大使と会見し、コソヴォ問題解決へ向けたアルバニア政府の姿勢を説明すると共に、ギリシアによる支援に感謝した。また良好な2国関係の継続、新たな経済協力プロジェクトと新規事業の促進を確認した。
(ATSh 99.05.21)

激変する輸入構造
 4月の輸入動向は、人道援助が開始された影響で前月から様変わりした。4月の輸入品価格の総額は5兆9350億レクで、3月より35%上昇。輸入総額は43億8400万レクにのぼった。主要国からの輸入額は以下の通り(単位レク 前月比);
 ギリシア 33億8500万(7%増)
 ドイツ 11億4400万(219%増!)
 フランス 2億8700万(486%増!!)
(ATSh 99.05.21)

私有企業躍進
 ティラナで開かれた「アルバニアにおける雇用と社会的均衡」セミナーでシェリフ・ブンドSherif Bundo教授は、現在アルバニア経済の80%を私有企業が占めていることを明らかにした。ただ、法整備や国家との関係において、依然時代に即していない面があると指摘、特に金融システムに不要な中央集権化の傾向があると述べた。
(ATSh 99.05.21)

サチ・イニシアティヴ
 「コソヴォ臨時政府」のハシム・サチHashim Thaci首相は5月21日、コソヴォ民主連盟(LDK)のイブラヒム・ルゴヴァIbrahim Rugova宛に書簡を送り、「コソヴォの深刻な状況に鑑み、ランブイエ合意に従って早急に臨時政府へ参加されんことを望み」「その内容を具体的に詰めるべく、ティラナへ来られんことを」要求した。
 同じ日にメイダニRexhep Mejdani大統領は、こうしたサチ首相の一連の言動について、「コソヴォの政治勢力の総結集を図る動き」として評価し、激励すると述べた。
(ATSh 99.05.21)

コルチャに英政府キャンプ
 NATOの「Allied Harbour」作戦の一環として、イギリス政府がコルチャKorceへキャンプ3カ所の設営資金を援助することになった。これによって、さらに5000人が収容可能となる。
 ちなみに現在コルチャで活動しているイギリス軍は、デルスニクDersnik〜ポレネPolene間の道路舗装と、導水管補修に努めている。
(ATSh 99.05.21)

中央文書館50周年
 ティラナの国立中央文書館(Arkivi Qendror; AQ)が50周年を迎える。
 アルバニアの貴重な歴史的文献・記録を収めたこの文書館で最古のものは、ベラトBeratで発見された6世紀の「白銀法典Kodiku i argjende」と9世紀の「黄金法典Kodiku i arte」。その他、15世紀の平信徒に関する記録、17世紀の職業別組合に関する文書、16〜18世紀の法典も収蔵されている。
 19世紀から1912年までの在庫の中には、アルバニア・ルネサンスRilindja Kombetar期[アルバニア民族のアイデンテティを確立し、独立を求めるために興された、一連の言語・文芸復興運動]の貴重な文献が含まれている。また1912〜1920年の分は紛失しているが、それ以降の時期の在庫は完璧。
(ATSh 99.05.21)



今週の新刊
 今週もティラナの書店には、翻訳と国内文学の新刊数冊が並んだ。
 翻訳は、ドストェフスキィ「白夜」がフェニックスPhoenix社から。「ユーゴスラヴィア民族の悪夢 Makthi etnik i Jugosllavise」は、ユーゴスラヴィア内戦の犠牲者に捧げられた歴史書。アルビンAlbin社から。
 アルバニア人作家の作品では、ファトス・コンゴリFatos Kongoli「象牙の竜Dragoi i fildishte」。ティラナ〜パリ〜北京を舞台に60年代のアルバニア人学生の人生を描いた長編。チェルチズ・ロロチCerciz Lolociとアギム・ネザAgim Nezaの「ホロコースト。ミロシェヴィチによる犯罪の記録 Holokaust, dosje pa koment per krimet e Miloshevicit」はルモ・スカンドLumo Skendo社から。
(ATSh 99.05.22)

夏期学校開設 ドゥラス編
 ドゥラスDurresに滞在するコソヴォ・アルバニア人の子供7000人以上のために、6月から夏期学校が始まることになった。
 現在4つの学校が開校している。ラシュブルRrashbullのキャンプ地で750人、旧労働者キャンプ場で120人、工業学校で120人、病院内キャンプで1000人の子供達が学んでいる。夏期には10校が開校され、うち1校は高等学校、他は小学校[8年制]の予定。
(ATSh 99.05.22)

今日のクカス
 ここ2〜3日の国境地帯は静かだったが、5月21日昼頃からモリナMorineを越えて入国する避難民が増加、この日クカスKukesへ到着したコソヴォ・アルバニア人は3650人に達した。3月末以来、コソヴォからアルバニアへ流入したコソヴォ避難民の総数は411137人にのぼる。
(ATSh 99.05.22)

3人揃い踏み
 アルバニアのパンデリ・マイコPandeli Majko首相、ハシム・サチHashim Thaciコソヴォ臨時政府[ルゴヴァの『コソヴォ共和国』とは別に、コソヴォ解放軍を主体とする]首相、そしてコソヴォの代表的知識人で穏健派のレヂェプ・チョスャRexhep Qosjaの3人が、5月22日にムレトMulletのコソヴォ避難民キャンプを揃って訪れ、コソヴォ・アルバニア人の現状を視察した。
 マイコ首相は「ここでの生活状態を可能な限り向上させるのは、困難ですがやらなければなりません。」と述べ、「ミロシェヴィチに対するNATO5原則の実現こそが、みなさんの帰郷を可能にするのです」と強調した。またサチ臨時首相は「私は今日ここに、みなさんが家に戻れる日は遠くないこと、この避難は一時的なものだということを伝えに来ました。コソヴォで我々が闘っているのは、それを実現するためであり、そのためにマイコ首相、アルバニア政府、そして国際社会が手を差し伸べてくれます」と述べた。
(ATSh 99.05.22)

共和党 サチの姿勢を評価
 アルバニア共和党(PR)のファトミル・メディウFatmir Mediu党首は5月22日の記者会見で、「コソヴォ臨時政府」のハシム・サチHashim Thaci首相がティラナでランブイエ和平会談時の代表者による会談を呼びかけていることについて、「彼はルゴヴァ氏との会見を求めることで、コソヴォのあらゆる政治・軍事勢力を結集させ、ランブイエ会談の合意を推し進め、コソヴォ独立のための協力を実現しようとしている」とその姿勢を評価した。
 サチ首相は21日にアルバニア民主連盟(LDK)のイブラヒム・ルゴヴァIbrahim Rugovaへ書簡を送り、この会談への参加を呼びかけている。
同時に「コソヴォの独立こそがバルカン地域全体の民主化を保証し、民族紛争を解消する」と述べ、ミロシェヴィチ大統領をハーグの国際法廷へ引き出すべきだと主張した。
(ATSh 99.05.22)

気の効いた見出し
 ハシム・サチHasim Thaciによる一連の言動について、5月22日付の独立紙2紙の見出し;
「コハ・ヨネKoha Jone(『我らの時代』)」;サチより「ルゴヴァよ、急ぎティラナで待つ」
「ガゼタ・シュチプタレGazeta Shqiptare」;サチ、ルゴヴァに最後通牒
 また「シェクリShekulli(『世紀』)」は、マイコPandeli Majko首相がハシム・サチとの会談の席上、ランブイエ会談時の代表団によって「国家安全保障会議Keshilli i Sigurimit Kombetar」を構成することを提案したと伝えている。
(ATSh 99.05.22)

メイダニ大統領 中国へ?
 メイダニRexhep Mejdani大統領は5月22日に在アルバニア中国大使Ma Weimao[漢字不明]と会見した。大使は江澤民Jiang Zemin国家主席から大統領宛の親書を手渡したが、この中で同主席は、大統領の早期の中国訪問を歓迎すると述べている。中国政府はアルバニア政府に500万元の無償経済援助を行っている。
(ATSh 99.05.22)

新・商工会長
 ティラナの商工会議所Dhoma e Tregtise e Industriseの会長選挙が5月22日に行われ、建設業者で「ビジネスマン[アルバニア語biznesmenは日本語の『ビジネスマン』と少し違うので注意]」のルアン・ブレガスィLuan Bregasi氏が新しい会長に選ばれた。会議出席者62人中、同氏への支持は35票、対立候補マルセル・スカンドMarsel Skendoは17票だった。
(ATSh 99.05.22)

携帯電話泥棒
 5月21日夜9時頃、ティラナの「バイラム・ツリBajram Curri」通り29番にある国際赤十字(IRC)の事務所に武装した2人を含む3人が押し入り、金庫をこじ開けたが何もなく、机の上にあった携帯電話3個を奪って逃げた。警察が現在捜査中。
(ATSh 99.05.22)

都市計画の不備で環境汚染が増大
 コルチャKorceのロランド・ラヂョRoland Raxho都市計画部長は新しい都市計画法について「不備が多く、環境汚染と違法建築の増大を招く」と指摘している。
 同法は、長期間の地域調査と総合計画に基づいた建築設計を想定している。しかしこれでは、早急な対策を必要とする都市のゴミ、廃棄車輌、駐車場や給油所の不足に対応しきれない。マリチMaliqiや、ドレノヴァDrenove、ポヤンPojan、モライMollajなどの比較的大きな村では、放置されたゴミが環境汚染の原因になっている。
 また、新規建築に対する6%の税収も適切に処理されておらず、国の機関がきちんとコントロールしないので、個人業者による濫用が横行している。
(ATSh 99.05.22)

コルチャの仏軍墓地
 コルチャKorceには、第1次世界大戦時に戦死したフランス軍兵士640人の墓地がある[当時コルチャは、フランス軍統治下にあった]。22日朝、NATO軍に属するフランス兵らがこの墓地に記念碑を設置する式典を催し、フランスとアルバニアの伝統的な友好関係を確認するとともに、コソヴォ避難民救援活動への参加を報告した。
 現在フランス軍はコルチャから3km、Drenoveドレノヴァ附近に避難民キャンプを設営し、約5000人が滞在している。
(ATSh 99.05.22)



マイコ様御一行ブリュセルへ
パンデリ・マイコ首相は関係閣僚3名と共に24日、ベルギーへの公式訪問のためティラナを出発した。  一行はベルギーのデハーネ首相やNATOのソラナ事務総長らと会見するほか、ブリュセルで25〜26日に開かれる欧州委員会European Commissionの臨時会合に出席。コソヴォ問題が中心課題となる予定。
  同行した閣僚は、アンジェリAnastas Angjeli蔵相、メクスィErmelinda Meksi経済協力相、ラクロリMaqo Lakrori欧州統合担当相。
(ATSh 99.05.24)



法王の手紙
 メイダニ大統領Rexhep Mejdani大統領に、ヴァティカン市国[アルバニア語でShteti i Shenjtesise se Tij]のソダーノAngelo Sodano枢機郷を通じ、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世[アルバニア語でGjon Pali]からの書簡が届いた。この中で法王は、3月に大統領から法王に宛てられた書簡に「深い感謝の意」を表し、アルバニア国民に対して、カトリック教会が「マザー・テレサNene Terezeを聖人に加える手続きを開始した」ことを伝えた。さらにコソヴォ問題に対する「大統領の姿勢を高く評価する」と共に「主が人々の心を照らし、バルカンに平和が戻り、コソヴォの民から苦悩が取り除かれるよう祈っています」と記している。
(ATSh 99.05.25)

再び国境地帯へ攻撃
 5月25日午前11時頃、セルビア側からハスHasのチャファ・エ・プルシトQafa e Prushitへ向けて10分間にわたる砲撃が行われた。被害はなし。この20日間で行われた攻撃で、近くのレタイLetaj村では民家3軒が破壊され、民間人1人が死亡した。
(ATSh 99.05.25)

トロポヤは数日ぶり
 トロポヤTropojeでは、5月29日の午後から夜にかけて、セルビア側から数日ぶりの砲撃があった。砲弾12発がカメニツァKameniceに着弾、同村の家屋2軒が大破した。住民は避難しており、被害はなし。
 パデシュPadeshには120mm砲弾が落下。ここにはUCKの通行ルートがある。
 クカスKukes当局によると、ハスHasのドブルナDobruneにも夜間に攻撃があったが、被害報告はない。アルバニア軍は待機しているが、今のところ応戦はしていない。
(ATSh 99.05.25)

人質1万人
 5月25日付の独立系紙「シェクリShekulli」の報道によると、コソヴォのツェルミャンCermjan村には主に女性と老人と子供から成る1万人近いアルバニア人が拘束されているという。この人達は、拷問や寒さや飢えに苦しめられ、しかもミロシェヴィチ大統領とコソヴォ民主連盟(LDK)のイブラヒム・ルゴヴァIbranim Rugova氏との間で調印されたという「歴史的合意書」への賛同を強制された。
 もっとも、当のルゴヴァ代表は、ドイツ紙のインタヴューで「合意」の事実を否定している。
(ATSh 99.05.25)

新しい通過所
 コソヴォからの避難民の通過所として、既にお馴染みのモリナMorine。その北方、ハスHasのツァハンCahan村に5月24日午後、初めて避難民が83人やって来た。時を同じくしてモリナにも1450人が流入、結局この日の越境者は2650人。
(ATSh 99.05.25)

詩集
 オボヤ・ゲガイOboja Abaz Gegajの詩集2冊出版に続いて、クカスKukesの「アントン・パシュクAnton Pashku」文芸クラブで、詩人リザ・グレイチェフツィRiza Greiqevciによる新作「分枝 Lidh me dege」の発表会が行われた。氏はコソヴォのドレニツァDrenice出身で、これまでに詩集や小説8冊を出している。
 今回の作品では、UCKや、故郷に殉じた人々の物語が中心。発表会の後グレイチェフツィ氏は、「このような活動がコソヴォでみんなと一緒にできたらいいのですが」と述べた。
(ATSh 99.05.25)

ファン・ノリの未公開肖像
 ファン・ノリFan S.Noli[1882〜1965 近代アルバニアの代表的作家、宗教家、政治家。1920年代、独立アルバニアの初代首相]の未発表の肖像画が、この度国立歴史博物館Muzeu Historik Kombetarに出展されることになった。他にも17〜20世紀の未公開作品が出品される。
 この肖像画は、1924年にヴァンジュシ・ゼゴVangjush Zegoによるもので、ノリはアルバニア正教会司教の正装を身にまとった姿で描かれている。その後、アメリカへ移住したゼンゴZengo家に代々所有されていたが、1980年に国立歴史博物館へ寄贈され、今回19年ぶりの特別展示となった。
(ATSh 99.05.25)

サチ 安保会議案に前向き
 コソヴォ臨時政府のハシム・サチHashim Thaci首相(UCK)は5月25日、ミロPaskal Milo外相との約1時間半にわたる会談後、先日マイコPandeli Majko首相が提案した国家安全保障会議Keshilli i Sigurimit Kombetar構想について「コソヴォの諸勢力を統一するための試みは何であれ評価したい」とし「これは、コソヴォの全政治勢力によるティラナ会談の共通目標となり得る」と同構想を評価した。
 サチ首相は、「あとはLDK(コソヴォ民主連盟)のルゴヴァIbrahim Rugova代表との約束を取り付けるだけだ」と、ルゴヴァ代表参加の必要性を強調している。 一方これに関連し、一部で「ルゴヴァ5月27日アルバニア訪問」説が報道されている。これについてミロ外相は「今の時点で言えるのは、彼が早い時期に来るだろうということだけだ」と否定した。
(ATSh 99.05.25)

GMと三井
 アメリカの「ジェネラルモーターズ」社と日本の「ミツイ」社の代表者らが5月25日、シュリIngrid Shuli運輸相と会見した。会談の中心は、アルバニアにおける鉄道整備のための協力と、その展望。
 短期的には、アルバニアの鉄道の保守強化、新しい機関車1台の導入。中期的には、日本政府から低利子借款を受け、それによってGM社製の機関車を導入する。日本からの借款は30年、年利は2〜3%、最初の10年は返済義務免除[原文通り訳しただけ。良い話なのかどうか、各自で判断して下さい]。

刑務所から
 5月25日午後3時頃から、モリナMorineを越えて115人のコソヴォ・アルバニア人がクカスKukesへ到着した。この115人全員は、ミトロヴィツァMitrovice市から7km、メルコニツァMerkoniceの刑務所からやって来た。いずれもUCK(コソヴォ解放軍)の支持者として形式だけの裁判にかけられたものの、証拠不十分のため訴追できず、バスでジュラZhureへ移送され、そこからさらに7km歩かされ、ようやくモリナまで来たという。
 同刑務所にはなお多数のアルバニア人が投獄されており、セルビア軍によって用水路を掘る仕事に従事させられているという。
(ATSh 99.05.25)

将来のための仕事
 ポグラデツPogradecの人道援助団体Refleksione協会は、ティラナの「女性と子供のための相談センターqendra e keshillit per grate dhe femijet」の協力で、同市にコソヴォ避難民向けのメンタル・ケアセンターを開設した。毎日85人を越える女性と子供がここを訪れ、カウンセリングを受けたり、スポーツや文化活動で、セルビア軍の暴力によって受けたストレスを和らげている。「ここに来る人たちは、目に怯えが表れており、手の震えや不眠に悩まされています」とアフロヴィティ・グショAfroviti Gusho会長は説明する。
 プリシュティナPrishtineから逃れて来たヴァルボナ・クラスニチValbona Krasniqi(35)は息子と夫を失った。こういうセンターは、より良い将来の助けになるでしょう、と彼女は言う。ポグラデツには現在約3000人のコソヴォ・アルバニア人がおり、うち約1600人が一般家庭に逗留している。
(ATSh 99.05.25)

エルバサンに28000人
 エルバサンElbasanには、ここ2日でクカスKukesから1330人のコソヴォ・アルバニア人が移動してきた。エルバサン当局によると、同地区の避難民の総数は28330人に達する。
 避難民は、イギリス軍が設営したラビノトLabinot村のキャンプに収容され、3万人を越えるであろう5月末まで同地に滞在する。今後NGOの支援がさらに必要になるだろう、また冬をどう乗り切るかも既に問題になっている、と当局者は語っている。
(ATSh 99.05.25)

新設病院
  そのエルバサンElbasanのミェケスMjekesに5月25日、新しい農村病院が開設され、現地のコソヴォ避難民5000人余りが利用できるようになった。レントゲン設備もあり。初日には150人が来院。
(ATSh 99.05.25)




ルゴヴァ−サチ会談へ
  「コソヴォ共和国 大統領」イブラヒム・ルゴヴァIbrahim Rugova(コソヴォ民主連盟 代表)と「コソヴォ臨時政府 首相」ハシム・サチHashim Thaci(コソヴォ解放軍)が27日午後、パリのアルバニア大使館で会談する。パリのルアン・ラマLuan Ramaアルバニア大使は、両氏会談がフランス政府高官を交えて行われることを認めた。
  もしこれが実現すれば、空爆開始後、穏健派代表と解放軍代表による初の直接対話となる。
(ATSh 99.05.27)



ミス・アルバニアはミス・プリシュティナ
  5月29日にティラナで行われた99年「ミス・アルバニア」の最終選考会で、コソヴォ出身のヴェネラ・ムスタファイVenera Mustafajさん(19)が、24人の決戦候補の中から選ばれた。彼女は6月の「ミス・ヨーロッパ」へも出場することになる。
  ムスタファイさんは学生。身長177cm、57kg、髪はブロンドで、スタイリスト志望。97年の「ミス・プリシュティナ」に選ばれたこともあるが、セルビア軍の弾圧が激しくなった4月にアルバニアへ逃れてきた。受賞後、「芸術は何でも興味があります。早くプリシュティナへ帰りたいです」と語った。彼女にはトロフィーと80万レクが贈られる。
(ATSh 99.05.30)
 

ルゴヴァ−サチ会談 お流れ
  5月27日パリのアルバニア大使館で行われる予定だったイブラヒム・ルゴヴァIbrahim Rugova(コソヴォ民主連盟 代表)とハシム・サチHashim Thaci(『コソヴォ臨時政府』首相)の会談は、5月30日の時点で行われていない。一方サチ首相は「公式訪問のため」イギリスとドイツへ出発。両者会談の見込みは絶望的。
会談が実現しなかった事情について、サチ首相は、ルゴヴァ側が会談への出席を受け入れなかったと「ル・モンド」で批判。一方ルゴヴァ側は、対話に応ずる用意はあったと述べており、双方の発言が食い違っている。
(Klan 99.06.03, Kosovapress 99.05.29, Kosov Info 99.05.30)



メイダニ大統領 日本に期待
  アルバニアのレヂェプ・メイダニRexhep Meidani大統領は共同通信社のインタヴューに答え、日本がアルバニアにより積極的に関わることを要請した。
 大統領は、現在の危機とその後に来る経済復興のための「地域的マーシャル・プラン」の必要性について、日本が果たし得る役割は大きいことを強調した。また現在最も必要とされるインフラ整備について、上水道の設備や避難民のための物資・住居の供給がさらに求められていること、夏に向けて水の供給が最大の問題だが、避難民のすべてが今年中に帰還できそうにない状況であり、今から既に冬の対策も考えていかなければならないこと、などを挙げた。 大統領は、日本政府が既に多くの支援を行っていることに感謝の意を表し、アルバニアがG7とEUの庇護の下にあり、またその枠内で日本が重要な役割を果たしてくれることを期待しており、あらゆる面で二国間の交流を深めていきたいと述べた。
(ATSh 99.05.31)




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